2015 Fiscal Year Research-status Report
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26380770
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
岩井 阿礼 淑徳大学, 総合福祉学部, 准教授 (50348348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 範子 上智大学, 経済学部, 教授 (50286134)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 障害者就労支援 / 工賃向上 / 福祉的就労 / ICT / 販売促進 / 福祉経営論 / インターネットショッピング / 障害者福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
ICTを利用した授産製品の販売がより活発になれば、「技術によってハンディキャップが軽減され、障がい者にとって働きやすい職場が増える」「販路の拡大によって工賃向上の手掛かりとなる」といった可能性がある。しかし、先行する調査によればICTを利用した授産製品の販売は極めて低調であり、なぜ売れないのか、その原因を突き止めることには社会的意義がある。 先行する調査では、授産製品のネット販売が振るわない理由として、インターネット利用者には若年層が多い一方で、授産製品の購入者は若年層が少なく中高年層が多いというミスマッチが指摘されていた。インターネット利用者の中で高い割合を占める若者が、授産製品をあまり買わないので、インターネットを通じた授産製品販売が低調なのではないかという仮説である。 そこで本年度は千葉市がインターネット利用者に対して行った授産製品購入に関する調査の分析を行い、インターネット利用者の授産製品購入を様々な角度から検討した。それによると、先行する郵送調査と同様に、購入経験率や将来の購入希望率は、若年層の方が中高年層より低いという傾向にあったが、その一方で53.9%にのぼる回答者が授産製品を購入し、57.7%が今後購入したいと答えている。しかし、インターネット利用者の購入経験の内訳をみると、ほとんどは対面販売を通じた購入であり、インターネットを通じた購入はわずか0.1%と低い値であった。 要約すれば「インターネット利用者の過半数が授産製品を購入してはいるが、インターネットを通じて購入する人は非常に少ない」という結果である。そこで浮かび上がるのは、事業者がインターネット上の販売戦略において、競合製品に対する相対的な優位性を獲得できずにいる可能性であるが、それについては次年度の課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
若年層の授産製品の購入に関する研究、および授産製品をインターネットを通じて販売している事業者のケース研究に、遅れがある。2015年6月から2016年2月まで研究代表者の近親者が家族による支援が必要とする状態にあったことと、研究分担者の多忙のため、その後の期間で遅れを取り戻すに至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
若年層の授産製品購入に関する研究を学会発表および論文の形で発表し、ICTを利用して授産製品を販売している事業者へのインタビュー調査を行う。
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Causes of Carryover |
研究の遅れのため、ソフトウェアや文献取得のための費用が一部使用されていないこと、質問紙調査やインタビュー調査の経費が未使用になっていることにより、次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の研究計画に基づき、生じている次年度使用額を使用する。まずは未取得の文献を取得し、質問紙調査の追加的な実施、入力・分析を行う。また作成したリストに基づき、ICTを利用して授産製品を販売している障がい者福祉施設のインタビュー調査を行う。
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