2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26380774
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
浅見 昇吾 上智大学, 外国語学部, 教授 (10384158)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 社会的養護 / アフターケア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、下記の活動を行った。 【調査】計画通り3名の対象者に本人及び関連施設長の承諾を得た上で、児童養護施設退所後の生活実態についてインタビューを複数回行った。ただ、3名に3回のインタビューを行う予定であったが、本人と施設の都合で1名のみ2回のインタビューとなった。また、本人及び施設の都合で予定とは若干異なる時期にインタビューを行うこともあった。インタビュー記録は文字原稿に変換し、研究会で検討した。児童養護施設退所後の当事者の考えを直接聞くことができたことには大きな意義がある。 【研究会開催】平成27年度第1回研究会(9月7日)では、インタビューアーから第1回インタビューの報告が行われた後、インタビュー対象者が新生活の状況や今後の将来設計についてどのように考えているかについて意見交換と検討がなされた。また、インタビュー分析のための質的調査の方法の検討も行った。第2回インタビュー終了後の第2回研究会(2月27日)では、第一回インタビューと比較しながら、ケース1(就労・障害者向けグループホーム施設入所)、ケース2(就学・自立援助ホーム入所)、ケース3(就労・自立援助ホーム入所)についての報告がなされ、意見交換が行われた。この際、対象者を継続して支援している自立支援コーディネーターへの聞き取り、意見交換も実施できた。また、インタビュー記録の整理の仕方についても意見交換が行われ、今後の調査・研究の方向を決定することができた。さらに、子どものグリーフについての報告と意見交換がなされ、子どものつらい気持ち等を理解するための枠組みについて知見を深めた。 【施設訪問】3月2日に社会福祉法人みその児童福祉会を訪問し、社会的自立に向けた支援や精神的自立に向けた支援について貴重な知見を得ることができた。 次年度の調査継続のための土台、調査内容をまとめるための土台を築くことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の主な研究活動は、対象者のインタビューを継続して実施することであり、1年に3回のインタビューを実施する予定だった。1名については対象者と施設の都合で2回のインタビューしか行えなかったが、対象者3名のうち、2名については3回のインタビューを実施することができた。また、インタビュー後、対象者を継続して支援している自立支援コーディネーターへの聞き取り、意見交換等も実施できた。児童養護施設退所後の生活実態とその問題について当事者とその支援者から聞き取りができたことは貴重な研究資料になると考えている。 研究会では、当初予定した発表者を招くことができないところもあったが、インタビュー結果の検討に重きを置いた研究会を行うことができ、インタビュー分析の土台を築けた。
|
Strategy for Future Research Activity |
【調査】退所後2年目のインタビューを継続して実施する。また、インタビュー後には、自立支援コーディネーターや関連の深い施設の職員等とコンタクトをとり、意見交換を実施したいと考えている。 【研究会】2回ないし3回の研究会を開催し、インタビュー分析を行う。また、インタビューの分析方法についての検討、可能ならば、児童養護施設出身者を受け入れる側の当事者を招き、受け入れ側のニーズについて研究会を開催したい。その上で、アフターケアのあり方等について総括を行いたい。 【施設訪問】現場経験の豊富な自立支援コーディネーターや施設職員の提案を基に、幾つかのヒアリング調査を実施したい。
|
Causes of Carryover |
研究会において外部講師を招聘することが少なかったため、謝金等の支出が計画より大幅に少なくなった。また、施設訪問の参加者が予定より少なかったことに加え、日帰りのスケジュールになったため、旅費等の支出も少なくなった。インタビュー分析に必要とされる図書や物品も最小限度のものに抑えた。これらの理由のため、次年度使用額が生じることになった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
現場経験の豊富な自立支援コーディネーターや施設職員の提案を基に、幾つかの施設でヒアリング調査を実施することを計画に追加する。
|