2014 Fiscal Year Research-status Report
健常高齢者が認知症予防に効果のある活動を長く続けるための要因の研究
Project/Area Number |
26380787
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
多賀 努 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (40415500)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 認知症予防 / グループ活動 / 自主活動 / 継続要因 / 自己増殖型 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症予防プログラムを終了し、自主化したグループが活動を長く続ける要因を明らかにすることを目的とし、その第一段階として、自主化後5年以上、活動が続いているグループの代表に、活動継続の要因に関するフォーカスグループインタビューを行った。実施か所数は8市区町、実施数は計10回、対象グループ数は計40であった。 どのグループもプログラムに準拠した内容ではなく、参加者が楽しいと思う活動を行っていた。また、男性は途中退会し女性が多く残った。パソコングループを除くと、情報交換に活動時間の多くが使われていた。認知症を予防したいという動機以上に、近隣では充足できない共通の関心を満たしあう社交の場として機能しており、集まることが楽しみとなっていた。 グループ活動の促進要因として、学習活動を支援する熟達者の斡旋、中山間地等における交通の便の提供が挙げられた。一方、阻害要因として、できないことにより迷惑をかけたくないという思いが挙げられた。積極的に仲間を増やす活動を行っているグループの代表は、いずれも男性であった。活動人数の適正規模の観点から新規加入を断っているが、活動人数が減れば仲間を増やすというグループの代表も男性であった。彼らに共通する特徴は、認知症予防という趣旨から外れない活動を心がける一方、参加者が楽しめる内容にするため認知症予防の趣旨に妥協したり、女性参加者のために茶菓の時間を確保するなど参加者の意向に柔軟に対応している点だった。非増殖型の活動を行っているグループの代表の多くは女性で、集まることが目的化する傾向が見られた。 第二段階は、グループインタビューで得られた意見にもとづき、自主化したグループの参加者にアンケート調査を行い、挙げられた継続要因に対する定量的な検証を行う予定であり、そのための設問・選択肢の作成を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本調査の全体像は以下のとおりである。 平成26年度の目標は、自主化後5年以上、活動が続いているグループの代表にフォーカスグループインタビューを行い、活動の継続要因に関する情報を得ることである。 平成27年度の目標は、フォーカスグループインタビューで得られた活動継続の要因をアンケート調査で量的に検証することである。 平成28年度の目標は、検証された活動継続の要因を参考にして、認知症予防プログラムの運営のしかたを工夫する。そして、自主化したグループの数・自主化したグループに参加するメンバーの数を調べ、運営の効果を確認することである。 本研究は、上記の計画どおりに進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、自主化後5年以上、活動が続いているグループの代表にフォーカスグループインタビューを行い、活動の継続要因に関する情報を得た。 平成27年度の目標は、フォーカスグループインタビューで得られた活動継続の要因をアンケート調査で量的に検証することである。 上記の目標にしたがい、フォーカスグループインタビューの成果にもとづき活動継続の要因に関する設問・選択肢を作成する。そして、フォーカスグループインタビューに協力したグループの各参加者にアンケート調査を実施し、集計・統計解析を行う。
|
Causes of Carryover |
海外出張経費に関する支出負担の決まりがわからず、支出することができなかった。 グループインタビュー調査に関して、想定していたか所数をやや下回ったこと、記録作成の担当者が想定以上に効率よく作業を行ったことから、人件費を大幅に下回った。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果の情報発信力の強化に努めることとし、海外の学会発表数を増やし、現在、申請中である。 平成28年度に実施予定のプログラムの改訂効果の検証に関して、対象プログラム数を増やすこととし、そのために平成26年度に生じた人件費の余剰を投入する。
|
Research Products
(3 results)