2014 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルワークの価値の可視化と習得-ワーカーの認識成長プロセスの解明-
Project/Area Number |
26380800
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
大谷 京子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (90434612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 和彦 日本福祉大学, その他, 専任教員 (10440801)
吉田 みゆき 同朋大学, 社会福祉学部, 准教授 (70445930)
寺澤 法弘 日本福祉大学, 社会福祉学部, 助教 (80548636)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ソーシャルワーク / アセスメント / スキル / 研修プログラム / 専門的価値 / 成長プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
ソーシャルワーカーの認識(「自己規定」と「対象者観」)が、専門的価値を表す概念であるという前提の下、その成長プロセスを明らかにする研究に着手した。まず、2014年度に大学で精神保健福祉士受験資格をもって卒業した学生14名を調査協力者として、現時点での認識を明らかにするためのインタビュー調査を行った。また、ソーシャルワーカーの専門的価値を可視化するために、エキスパートPSWへのインタビュー調査計画を立てた。 以上2つの質的調査は、目に見えない専門的価値を明らかにし、それらが何によって醸成されるかを解明するための基礎データを提供する。これらの調査と先行研究レビューを統合し、専門職養成教育における専門的価値の取り扱い、教育の仕方、自ら省察しつつ成長を志向するためのポイントを提示できると考えている。 アセスメントプロセスと、そこで活用されるスキルを解明するため、2つの質的調査を実施してクライエントから求められるスキルと、エキスパートPSWのスキルを抽出した。これらの知見を基にして、アセスメントスキル研修プログラムを開発した。プログラム試行時の受講者からのフィードバック、受講者のスキル得点の変化をデータとして用い、それらを分析した。これらを踏まえて研修試行と修正を繰り返し、プログラムを完成させた。現在、研修プログラムの普及に向けて冊子を作成し、日本精神保健福祉士協会など、専門職団体に伝えていく。 本研究の意義は、ソーシャルワークの要として重視されながらも、その定義も共有されておらず、方法論も明示されていないアセスメントプロセスについて、一定の指標を提示できたことである。実践現場への還元を意図し、「何をどのようにすべきか」という至極単純なスキル指標を明示し、そのスキル向上のために効果的な研修プログラムをあわせて提案しているところが実用性に富むと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アセスメントスキル評価指標の開発が遅れている。量的調査を実施するために、統計解析手法の習得に手間取っている。しかし調査票は完成させることができたので、2015年度はじめには調査票を郵送できる。 認識の成長プロセス調査については、当初の予定であった5名の協力者では、出身大学の違いや国家試験の合否、就職先の種別の差による成長プロセスの差を明らかにできないと考えたため、14名に増やし、インタビューを終えることができた。この研究については順調に進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、アセスメントスキル評価指標を完成させる。都道府県単位で専門職団体への依頼を進めているところなので、他アンケートの重ならない時期をみはからって郵送する予定である。 第二に、経年調査については、14名のインタビューが成長プロセスのベースラインデータになる。これらの分析を進め、出身大学による差について検討しておく。1年後の2-3月にインタビューを実施する予定である。この調査研究のために、経年調査の分析手法を学習する。さらに、成長プロセスに関する先行研究をレビューする。 第三に、エキスパートの専門的価値認識を明らかにするためのインタビュー調査を始める。エキスパートには、キャリアを振り返り、自己規定や対象者観に影響を与えた事象と共に語っていただく。ただ、目に見えない認識は、意識することも難しいため、1回ずつのインタビューごとに研究チームで分析し、調査手法やインタビュー方法も検討しながら進める。
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Causes of Carryover |
今年度計画にあった量的調査を実施できていないことが理由である。先述のように、統計分析手法の習得に時間がかかってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分析手法を想定しながら調査票は完成したので、専門職団体への依頼をして、助成金の範囲内でできるだけ多くのデータを得るべく、郵送する予定である。サンプルサイズは400ほど必要で、PSW調査の回収率はどの調査も3割程度であることを考えると、1,200の調査票を郵送したい。120円×1,200枚+120円×400枚で、郵送料だけで192,000円かかることになる。質問紙印刷代やデータ入力委託費を合わせると、40万円ほどの支出が見込まれる。 新卒PSW14名の経年調査のための個別インタビューでは、謝礼(5,000円×14人=70,000円〉、他県就職者の場合は交通費(7万円)、インタビューデータの逐語起こし委託(15,000円かける14人=210,000)を含め、35万円程度を見込んでいる。 エキスパートインタビュー調査については、同上の経費として、35万円程度を見込んでいる。
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Research Products
(9 results)