2015 Fiscal Year Research-status Report
生活困窮者集住地区の実態分析と包摂型地域社会支援システムの創出に関する調査研究
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26380836
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Research Institution | Buraku Liberation and Human Rights Research Institute |
Principal Investigator |
棚田 洋平 一般社団法人部落解放・人権研究所(調査・研究部), その他部局等, 研究員 (00639966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福原 宏幸 大阪市立大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20202286)
寺川 政司 近畿大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90610650)
五石 敬路 大阪市立大学, 人文社会系研究科, 准教授 (30559810)
熊本 理抄 近畿大学, 付置研究所, 准教授 (80351576)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生活困窮者支援 / 地域福祉 / 部落問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本調査研究では、社会的困難が集約されやすいとされる今日の被差別部落における生活困窮者の実態について、まずは把握することを目的とする。そのうえで、被差別部落で従来から実施されてきた隣保館等における相談・支援事業の課題と可能性について、2015年4月より施行される生活困窮者自立支援法の動向をふまえながら、整理・検討することが本調査研究のもうひとつの目的である。 そのような問題意識から、2014年は、①既存データ(「同和問題の解決に向けた実態等調査」2000年、「今後隣保館が取り組むべき地域福祉課題を明らかにする実態調査」2011年)の再分析をとおして、被差別部落における生活等の実態の変化について把握したうえで、②大阪府内の被差別部落11地区における相談員・支援者31名、相談者(生活困窮者)37名を対象としたヒアリング調査(うち2地区においてはプレ調査を実施)を実施した。これらの調査により、各地域における生活困窮者の実態及び、その支援の現状と課題について明らかにすることに努めた。あわせて、③行政等の関係部局・組織(大阪府)に対するヒアリングと、④生活困窮者支援にかかわる全国の先進事例を対象とした訪問調査等を実施した。 2015年は、上記①~④の調査を引き続き行うとともに、くわえて、大阪府内の全自治体を対象とした「各市町村 大阪府総合相談事業の概況調査」を実施し、その結果をもとに3つの自治体を選定して、自治体における生活困窮者支援制度・施策の現状と課題についてヒアリングを行った。そして、これらの結果について分析・考察を進め、中間報告(『部落解放研究』203号「特集 同和地区を中心とした相談支援と包摂型社会創出の可能性」)としてまとめた。 また、本調査研究の遂行にあたっては、共同研究メンバーによる検討会議を随時実施したり(年間10回程度)、地域関係者をまじえて本調査研究の成果を報告する公開研究会を開催したりした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
中間年度にあたる2015年度には、調査研究を進めるとともに、本調査研究の成果について中間報告をとりまとめ、紀要や公開研究会というかたちで発信することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査で明らかになった、従来の同和地区を中心とした相談支援制度・施策と生活困窮者自立支援法にもとづく施策・実践との関係性について整理したうえで、地域における生活困窮者支援の現状と課題を把握し、展望を見出すために、ひとつの地区にしぼってアクションリサーチを展開することを予定している。具体的には、個別地域の生活困窮者の実態を把握したうえで、かれらに対して、既存の制度・施策ならびに新しい制度・施策を活用しながらどのような支援を実施することができるかについて、地域関係者や関係団体・組織、行政関係者とともに検討したうえで、現実に即した支援のしくみつにいて提案することを目標とする。
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Causes of Carryover |
2015年度は、調査研究のとりまとめ(中間報告)に時間を費やしたため、当初に予定していた調査遂行に係わる予算についてはあまり執行することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度となる2016年度には、中間報告をふまえた調査を実施することを予定しており、それに係わる旅費や人件費(データ入力・整理等)がかさむことが想定される。
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Research Products
(18 results)