2014 Fiscal Year Research-status Report
行動ビッグデータの収集解析技術を応用した授業コミュニケーションに関する実践的研究
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26380865
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 崇 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20360878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一柳 智紀 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30612874)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ビッグデータ / 小学校 / 一斉授業 / 非言語的コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,学校が組織として発達し続けるためにコミュニティの学習をサポートするための有益なテクノロジーを開発し,実際に学校現場に導入することを目的として計画された。コミュニケーションする人々の微細な身体的動作や対面的相互作用の履歴を即時的に分析する人間行動ビッグデータ解析システムを基盤として,授業過程でのコミュニケーションの分析に最適化されたシステムを開発中である。 平成26年度は(株)日立製作所のビッグデータ収集解析システム「ビジネス顕微鏡」の貸与を受けて,政令指定都市中心部に位置する公立小学校1校の協力のもと,(1)実際の授業のコミュニケーションを対象とした非言語的行動の基礎的データの蓄積,(2)そこから明らかになった知見を学校へ即時的にフィードバックするフローの試験的な構築を行った。 その結果,一斉授業中の児童の身体振動リズムを指標とした授業分析の可能性を示唆することができた。例えば,学級全体の平均的な身体振動リズムの高低には学年間で差がある可能性を指摘できた(日本教育心理学会および日本教育工学会にて発表済み)。また,授業内容の理解の程度によって授業への参加の仕方の質が異なる可能性が,身体振動リズムを指標として表現できる可能性も指摘できた(日本教育心理学会にて発表予定)。 平成27年度以降も引き続き研究体制を維持し,システム開発に取り組んでいく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終的な目的は学校で教育実践をする教師が自分の授業を振り返るための簡便なツールの開発である。現時点では,データ収集から解析にいたるまでを研究者が実施している。また,授業の特徴を反映する指標の探索に取り組んでいるため,実践をした教師へのフィードバックは1週間程度遅れてしまっている。しかし,従来のように授業中のコミュニケーションにおける非言語行動を映像から書き起こすという手法を用いた場合のフィードバックに要する期間と比べると格段に短縮されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究には,研究分担者,システム貸与およびシステム改善に協力する(株)日立製作所,調査実施に協力する公立小学校という三者が主要な関係者として関与している。平成26年度に引き続き,27年度以降もこれら三者との協力体制を維持する約束はすでに交わしており,研究推進には支障はない。 データ収集についてはおおよそのフォーマットが完成したので,今後はデータ解析を精力的に実施し,授業の質評価につながる指標の発見とそのシステムへの実装が課題となる。
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Causes of Carryover |
研究成果を発表するための諸学会への参加にかかる旅費を,安価な航空券の早期購入するなどして抑制することができたため,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
授業中の児童間の相互作用をより正確に分析するために必要な360度撮影可能なカメラ(Kodak PIXPRO SP360,購入予定額42千円)を購入予定である。残額については,訓練を積んだ大学院生を雇用し,速やかなデータ分析が可能な研究体制を充実させるための謝金として使用する。
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Research Products
(4 results)