2016 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of an instructional intervention based on children's thinking on conceptual understanding of ratios
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26380879
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
栗山 和広 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (10170094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
假屋園 昭彦 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (30274674)
吉田 甫 立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (80094085)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 割合概念 / 概念的理解 / 認知的障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度から平成28年度にかけて,子どもにとって理解することが困難な割合概念について,(1)なぜそれが難しいかを子どもの思考や方略という視点から明らかにし,(2)子どもが獲得している割合概念の知識や認知的障害である等全体を考慮した教授プラグラムを開発し,こうしたプログラム構成の枠組みに基づいた教授介入を行った。その結果,概念的理解群(新しいカリキュラムで指導する)とテキスト群(現行の指導書で指導する)において,概念的理解群の方が等全体課題では正答率が高いことから,概念的理解群は認知的障害を克服していることが示された。平成29年度では,割合を学習した5ヶ月の期間を経過した後の割合概念の把持効果について検討した。その結果,割合の3用法といった計算課題においては,両群の正答率の差は見られなかった。しかし,等全体の課題では,グラフ問題,表問題とも,概念的理解群がテキスト群より正答率が高かった。このことから,概念的理解群はテキスト群より,概念的理解について深化していることが示された。 さらに,新しいカリキュラムによる教授介入について,授業における教師と子どもの発話過程の分析を行った。その発話過程の分析から,テキスト群は,公式に依存していることが明らかであった。それに対して,概念的理解群は,割合の大きさについて見積もり活動をおこなっていること,全体は100%であるという等全体の概念を理解していることが示された。 これらの結果より,子どもの論理を反映した新しいプログラムによる教授介入は,子どもの割合概念の理解を妨害している等全体の理解を促進し,概念的理解を深化させることが示された。
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