2015 Fiscal Year Research-status Report
教育実習生の注視点映像によるリフレクションが授業に及ぼす効果
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26380888
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
有馬 道久 香川大学, 教育学部, 教授 (10151185)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 視線行動 / リフレクション / 教育実習生 / 熟練教師 / アイマークレコーダー |
Outline of Annual Research Achievements |
授業中の発問場面を「教師の発問→指名→児童の発言→教師の応答」に分け、各下位場面における授業者の視線行動と思考内容について、熟練教師と教育実習生の比較を通して検討することを目的とする。教育学部附属小学校に勤務する教員3名(男性2名、女性1名)と同校で実習中の教育実習生3名(男性1名、女性2名)を授業者とした。各授業者が、小学校3年生の算数あるいは道徳の授業を1回ずつ行い、授業者の頭部に装着したアイマークレコーダEMR-9(nac社製)により授業録画を行った。その結果、視線行動については、注視点と注視点の軌跡から、①すべての授業者は“広範囲の児童”に向けた視線頻度が多かった。②熟練教師は“特定の児童”に実習生の倍以上の視線を向けていた。③教育実習生は、“教卓の資料・教科書”、“何もない場所”を熟練教師より多く見ていた。 さらに、「発問」、「指名」、「児童の発言」、「教師の応答」の各場面別に視線行動と思考内容を検討した結果、熟練教師の視線行動は3名とも異なる点が多く、一貫していないことが明らかになった。しかし、3名とも「児童の理解度を知る」、「反応を見る」、「ゆさぶりをかける」などの意図をもって児童を見ていることがわかった。一方、教育実習生は、声がする方や挙手が多い方など児童が発するきっかけによって無自覚に視線を動かしていたことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
携帯型のEMR(アイマークレコーダー)を用いて6つの授業の録画と授業の振り返り(リフレクション)からなる一連の実験が実施できたこと、加えて、視線行動について注視点および注視点の軌跡の記録、それに伴う思考内容に関する授業者の逐語録が記録できたことなどが「おおむね順調に進展している」と自己評価した理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
目的:授業者注視点映像を手掛かりにした授業者(教育実習生)と指導教員の対話リフレクションを実施し,教育実習生の授業の課題を発見し,その後の授業力向上に及ぼす効果について検討する。 方法:授業者として教育実習生を割り当てる。あわせて,授業後の授業リフレクションを一緒に行う指導教員も研究協力者とする。手続きは、つぎの2セッションから構成される。 セッション1:①各授業者の頭部にアイマークレコーダEMR-9を装着し,算数もしくは国語の授業を行ってもらい,授業者の視点から授業を撮影・録画する。②授業後の空き時間もしくは放課後,リフレクション・カードを用いて授業者である教育実習生と指導教員に対話リフレクションを行ってもらう。セッション2:セッション1と同様の手続きで2回目の授業と対話リフレクションを行う。 分析手続き ①リフレクションの観点ごとの頻度,記述量,記述内容などについて1回目の授業と2回目の授業を比較する。②セッション1で示された課題が2回目の授業でどのように改善されたかについて検証する。③注視点と注視点の軌跡をもとに、1回目の授業から2回目の授業への変化等について分析する。
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Causes of Carryover |
平成26年度(初年度)に購入したアイマークレコーダEMR-9(nac社製)は、規格変更等により授業録画に不可欠な音声録音ができなかった。平成27年度予算によって、音声録音機能を追加すべく納入業者と相談したが、実験開始には間に合わなかった。そのため、平成27年度は、別のビデオカメラを用いて音声録音を行い、再生時に映像と音声を手動で同期させた。 主な次年度使用額は、以上のような理由で生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度も、次年度使用額をもとに引き続きアイマークレコーダEMR-9(nac社製)の音声録音機能の追加を可能な限り目指す。不可能になった場合、映像と音声を同期させる機器の購入に同予算を充てる予定である。
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Research Products
(1 results)