2014 Fiscal Year Research-status Report
言語発達アセスメントツールとしての「あいまい性課題」の開発
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26380896
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Research Institution | Shokei Gakuin College |
Principal Investigator |
小泉 嘉子 尚絅学院大学, 総合人間科学部, 准教授 (80447119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 典子 聖和学園短期大学, その他部局等, 准教授 (40581351)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | あいまいさ / 情報のなわばり認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで申請者は若手研究(B)においてあいまい性の理解を必要とする文末表現に着目し、文末表現の持つあいまい性がどのように理解されるようになるのかについて児童~大学生を対象に調査を行った。その結果、あいまい性の理解は①文末表現の種類の理解②情報のなわばり認識の2つの理解が必要であることが明らかになった。これらの調査結果及び開発した手法は、対人関係がとりにくい子どもの行動特徴を捉えるためのアセスメントの道具として活用することができると考えられた。そこで本申請では、あいまい性の理解と情報のなわばり認識に着目し、次の調査を行うことを目的とした。①幼児・児童を対象とした広範囲かつ横断的な発達調査を行い、言語発達のアセスメントツールとしての「あいまい性理解課題」を開発する。②あいまい性の理解に困難さを抱えている幼児を対象に行動観察を行い、どのような困難さを抱えているかについて検討を行うことにした。 平成26年度の研究実施状況については、 当初はあいまい性とメタ言語的理解(情報のなわばり認識)の2つを測定するための予備的な調査を行う予定であった。しかし2つの多重尺度図法の合成方法の検討に際し、背景となる知見を集め、さらに検討する必要が生じた。そこで平成26年度は先行研究(吉川・藤本・西村;1995、吉川;1998)を参考にしつつ、多重尺度図法の合成方法について検討を行った。また、あいまい性とメタ言語的理解(情報のなわばり認識)の2つを測定するため、関連する言語発達の最近の知見を収集し、整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画当初においては、あいまい性とメタ言語的理解(情報のなわばり認識)の2つを測定するための予備的な調査を行う予定であった。具体的には、幼児・児童だけでなく大学生までのすべての年齢に対応できる多重尺度図法を使用し、大学生を対処にあいまい性の理解とメタ言語的理解(情報のなわばり認識)についての質問紙調査・クリッカー調査を行い、アセスメントツールに採用するあいまい性理解・メタ言語的理解(情報のなわばり認識)といった理解を測定する項目の選定を行う計画であった。 しかし、2010年~2013年度若手研究(B)において、①心理尺度の合成方法については、多重尺度図法をはじめとするいくつかの方法があり、これらについて詳細に検討する必要が生じた。②アセスメントツールを作成するに当たり、言語テスト、子ども言語発達研究、文末表現についての言語学的研究についての最近の知見を把握しておく必要が生じた。 そこで、①の心理尺度の合成方法については、平成26年度~平成27年度にかけて検討することとした。また②については、子どもの言語発達研究については平成26年度に、言語テストと文末表現の言語学的研究については平成27年度に最新の知見を収集し、整理することにした。さらに、これに合わせて27年度以降の計画を変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究実施計画:①多重尺度図法の合成方法の検討(継続):平成27年度は前年度から引き続いて多重尺度図法の合成方法の検討を行う。また夏以降には予定していたファジィ理論に詳しい識者から合成方法についてアドバイスを受ける。②文末表現についての知見を整理し、あいまい性(文末表現の使用)とメタ言語的理解(情報のなわばり認識)について大学生を対象にした調査を行う。③言語テストについて最新の知見を整理する。 平成28年度の研究実施計画:大学生向け質問紙の作成と実施:幼児・児童だけでなく大学生までのすべての年齢に対応できる多重尺度図法を使用し、大学生を対処にあいまい性の理解とメタ言語的理解(情報のなわばり認識)についての質問紙調査・クリッカー調査を行い、アセスメントツールに採用するあいまい性理解・メタ言語的理解(情報のなわばり認識)と言った理解を測定する項目の選定を行う。 平成29年度の研究実施計画:前年度に選定した言語発達のアセスメントツール(あいまい性理解課題)用の項目を使い、幼児・児童を対象とした言語発達のアセスメントツールの開発を行う。具体的には、研究代表者の所属する大学に併設されている附属幼稚園の幼児を対象にクリッカー調査を行い、言語発達のアセスメントツールとしての「あいまい性理解課題」の開発を行う。 平成30年度の研究実施計画:前年度に開発した子ども向け言語発達のアセスメントツール「あいまい性理解課題」を使い、幼児・児童を対象に、多重尺度図法を用いたあいまい性の理解の発達過程についてのクリッカー調査を行う。またクリッカーを用いた調査と同時期に、対象となる幼児・児童に対し「子どもの社会性に関する質問紙」を保育士・教員に評定してもらい、あいまい性の理解が難しい子どもが保育場面・学習場面で実際にどのような困難さを抱えているのかについても調査を行う。
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Causes of Carryover |
当初はあいまい性とメタ言語的理解(情報のなわばり認識)の2つを測定するための予備的な調査を行う予定であった。しかし2つの多重尺度図法の合成方法の検討に際し、背景となる知見を集め、さらに検討する必要が生じた。そこで平成26年度は以下のように購入計画を変更した。①アセスメント用尺度を作成するに際し、クリッカー(若手研究(B)で購入分と学内で新たに購入した分)だけでなく、質問紙を作成・実施する必要が生じた。そこで、購入するPCを1台減らし、質問紙を作成・読み取ることのできるシステム(Remark Office OMR Version 7と専用のスキャナ)を購入した。また、②当初予定していなかった「言語発達」に関する知見を整理することとなり、言語発達に関する書籍を購入した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初は平成26年度の調査結果を次年度(平成27年度)の国際学会(ポルトガル)で発表する予定であったが、上記の計画変更により調査が平成27年度に変更となったことから、平成28年度の国際学会(横浜)への参加・発表に変更した。これにより計画していた人件費(調査参加者への謝金と尺度について識者からの意見聴収・分析についてのレクチャー)については、27年度での使用とした。(残額については、これらの費用に加えることとした。)
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