2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380916
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Research Institution | Oita Prefectual College of Arts and Culture |
Principal Investigator |
藤田 文 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 教授 (50300489)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 仲間関係 / 幼児期 / 交代制ルール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、子どもが遊具を使用する際の交代制ルールに着目し、仲間関係の中でどのように自己と他者との関係調整をするのかを明らかにすることだった。 本年度は、幼児が三人組で3種類のゲーム遊びをしている場面のビデオでの行動記録を、行動コーディング解析ソフトを用いて分析した。行動コーディングシステムと適応のよいパソコンを購入し、ソフトの導入を実施した。ビデオデータを保存記録して、基本ユニットの始動を行った。 従来の研究で、4歳児よりも5歳児の方が交代行動の規準が明確で、関係調整が上手くできるようになることが示されている。しかし、交代行動の関係調整が上手くいくことが楽しく遊べることと結びつくかどうかは明らかでない。そこで本研究では、ゲーム遊び場面における楽しさの共有行動の出現を検討した。4,5歳児を対象に三人組をつくり、魚釣りゲーム、アイスクリームゲーム、ワニゲームの三種類のゲームを5分間ずつ行ってもらい、ビデオ録画した。楽しさの情動共有行動とみなされる笑いや拍手やほめ言葉などの回数を分析した。その結果、魚釣りゲームでは4歳児の方が5歳児よりも、また他のゲームでは男児の方が女児よりも楽しさ共有行動が多いことが示された。 今年度はビデオ分析のケース数を増やすことを予定していたが、分析に時間がかかり、分析ケースを大幅に増やすことはできなかった。しかし、従来の研究全体を著書として発行し、日本発達心理学会の小講演や玉川大学のフォーラムで発表した。また、情動共有に関する分析結果を日本発達心理学会で発表した。このことから、おおむね計画は進展しているといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、ビデオ分析ソフトを用いて、幼児の相互作用の行動分析を詳細に行うことであった。今年度ビデオ分析ソフトが適応しやすいパソコンを購入し、ビデオ映像を入力した上で、分析を開始した。ビデオデータが大量であるため、まだ分析されていないデータも残っている。しかし、情動行動について3種類のゲーム課題について、一定の分析結果を出せたためおおむね順調に進展しているといえる。また、行動分析の視点を決定することが必要であるとともに、情動行動と関連する仲間関係の調整の側面を検討する必要があった。行動分析の視点を、他者と遊具への視線、笑いや叫び声などの情動的反応と定め、交代制ルールの産出との関連を調べることなど分析の視点を定めることができた。 また学会での研究成果の発表や講演での研究発表、著書の出版を通して、研究内容を多くの場面で公表することができた。このことにより今後の研究への示唆を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、幼児の三人組のゲーム場面での交代行動の分析を行動コーディングシステムを用いて実施した。しかし、分析に時間がかかり、分析のケース数を大幅に増やすことができなかった。 したがって、今年度は、さらに引き続いて、交代行動の分析を実施して、ケース数を増やすことを目的とする。行動コーディング解析ソフトを使用して、情動的な側面だけでなく、注意の側面、姿勢や視線、からだの向きなども詳細な行動分析をさらに継続していく予定である。年齢差とともに性差だけでなく、行動分析と交代性ルールの共有過程との関連を分析することも必要である。共有がうまくいかない特徴的なケースについても記述していくことを予定している。 今年度の結果は、日本教育心理学会、日本発達心理学会で発表する予定である。また、来年度に実施される国際心理学会(International Psychology Conference)でも発表できるように準備する。
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