2015 Fiscal Year Research-status Report
婦人科がん体験者が女性性の危機を乗り越えるための心理学的支援モデルの構築
Project/Area Number |
26380934
|
Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
中澤 良子 (大場良子) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (80381432)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽鳥 健司 埼玉学園大学, 人間学部, 講師 (10458698)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 婦人科がん体験者 / 女性性の危機意識 / 心理的社会的支援 / ポジティブ資源 / well-being |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、20代から40代にある婦人科がん体験者が知覚する女性性の危機意識の構造と、それを効果的に対処するポジティブ資源および支持要因を明らかにし、well-beingの獲得に向けた心理社会的支援モデルを提案することである。 平成27年度は、初年度と同様に、心理学系会や医学・看護系学会、婦人科がん体験者の患者会への参加を通して、婦人科がん体験者が抱える治療後の問題(女性性の危機に関わる問題等)や支援方法、支援の効果等について、情報を収集した。婦人科がん体験者の抱える問題には、治療後の後遺症(リンパ浮腫、卵巣欠落症状、性機能障害、不妊、排泄障害)により、家事や仕事、人間関係(特に、異性との関係)、性生活等への影響が課題とされた。女性性の危機意識という側面で注目すると、不妊の問題であり、生命の危機は乗り越えられていても、子どもを産めないことに対する悲しみや後悔は、時間が経過しても乗り越えられていない深刻な問題であった。また、若年で発症した卵巣欠落症状(更年期障害)は、加齢の影響と共に、健常女性よりも女性的身体への維持の困難さも抱えていた。患者会の支援方法は、悩みや情報を分かち合うピアサポートや美容相談があり、女性として生きていくための自信の獲得につながるサポートが実施されていた。 その他、今年度は心理系学会において、婦人科がん体験者の女性性の危機とレジリエンスのテーマでシンポジストとして登壇し、意見交換の機会を得た。 現段階の進捗は、面接調査を実施するにあたり、体験者の年代、治療経過年数、治療方法別などの種別に関して、綿密に対象者のマッチングを行うため患者会代表者と打ち合わせを行った。対象者の選定においては、もう少し細かな調整が必要となり、面接調査までは至っていない。そのため、次年度に実施予定とした。今後、面接調査を実施し、その結果に基づき、量的調査を進める計画である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現段階の進捗は、面接調査を実施するにあたり、体験者の年代、治療経過年数、治療方法別などの種別に関して、綿密に対象者のマッチングを行うため患者会代表者と打ち合わせを行った段階である。婦人科がん体験者の女性性の危機意識構造の解明には、デリケートな内容に触れる調査であるゆえに、対象者の選定においては、対象者からの十分な研究への理解を得るため、もう少し細かな調整と依頼に時間をかける必要があった。
|
Strategy for Future Research Activity |
患者会代表者と調整をすすめ、研究対象者のマッチングを行う。年代別、治療後経過年数別、子どもや配偶者の有無などの背景別に選定を調整する。対象者数は3~6名程度とし、面接調査の結果を得て、量的調査の準備を行う予定とする。
|
Causes of Carryover |
予定した面接調査が実施できず、人件費や謝金が発生しなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、面接調査への謝金、旅費、量的調査の検討、実施にかかる旅費、郵送代等の執行が見込まれる。
|