2014 Fiscal Year Research-status Report
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26381022
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
子安 潤 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90158907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅原 利夫 和光大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10130858)
三石 初雄 帝京大学, 付置研究所, 教授 (10157547)
坂井 俊樹 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10186992)
山田 綾 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50174701)
小寺 隆幸 京都橘大学, 人間発達学部, 教授 (80460682)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原子力災害 / 放射線教育 / 価値観の多様性 / 当事者の声 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究分担者が2014年5月17日に集まり、3年間の研究計画の見通しについて論議し、原発とその教育に関わる事実を収集し、そこにある言説から多様な見地を掬いだすこと、その見方の違いを踏まえた上で、教育の方向について研究していくことを確認した。また、今年度の当面の企画について検討を行った。 その後、6月8日、7月27日、10月4日、12月21日、3月15日と5回の公開の研究会を東京学芸大学を会場として開催してきた。 6月の研究会の内容は、原発と地域開発に関する小学校と中学校の教育実践を聞き、検討した。7月は、原発に関して文科省が作成した改訂版の副読本の内容について報告を受け、検討した。10月は、福島の子どもの保養をめぐる民間団体の取り組み内容と実態についての調査報告を聞き検討した。12月には、OECD東北スクールの福島大学の担当責任者とこれに参加した福島の高校生の声を聞くとともに、震災時に高校生であった大学生の災害後について核に関する学びについての報告について検討を行った。明けた3月には、チェルノブイリの事故後のベラルーシの子どものたちの支援に取り組んでいる民間団体の代表に、ベラルーシの支援のシステムとりわけ保養に関する制度と状況について直接に聞き検討した。また、福島出身の教師が東京の高校教師となった時の周囲の教師や生徒の反応についての体験と、被災者としての実践について報告を受けて、見方の際をどう埋めることが可能かについて議論を行った。 これらの先行教育実践と取り組みの一部は、原稿化されて公表した。また、2015年度の研究の予備調査として有意なものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原発災害の現実と当事者の声を聞くことと、教育実践とをバランスよく検討する初期の目的を着実に進めている。また、福島の子どもたちと教師の声、原発災害に直接関与した活動を多様な立場から行っている人々の声を聞くこともできている。 教育実践ばかりでなく、教育政策関連文書も取り上げ、さらに民間NGO団体の等の担当者からの報告を受けた検討も進めており、当初の予定通り進行していると評価してよいであろう。 また、各回の研究会は、公開を原則として実施しており、教育関係者、研究者ばかりでなく、立場を越えた参加者、回によっては一般市民や高校生および大学生の参加もえられている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までは、原発・放射線災害の実情とそれを踏まえた教育実践の収集、さらに先行災害地としてのチェルノブイリの現在の状況に関する研究会を開催してきた。引き続き、それぞれの取り組みの実情を集積する作業を続ける予定としている。 東北の地は、復興事業や復興教育の進展と共に、教育の課題や焦点も徐々に変化も見られる。その変化が何を意味するか慎重に検討しつつも、本課題研究の基本となる異なる見地が社会的に存在する中での教育のプランニングと実施に関する探求を深めたい。 そのために、今年度の重点は、原発災害から29年目を迎えたチェルノブイリ事故の被害がつづくベラルーシの支援制度とその支援制度の下での子どもたちや保護者たちのリアルな意識を調査する予定としている。 日本とは異なる実情や文化的な違いがあるとしても、その支援制度と取り組みには学ぶべき点があると推測している。これを現地調査を通じて明らかにすると共に、それらを踏まえた教育の実情を明らかにしたいと考える。 今年度の後半には、それらの調査をどう分析するか議論を深める活動を推進したいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究分担者の転勤があり、また、学会長に就任するなどしたため、予定した出張による調査が行えなかったため、当該分担者の旅費に残が出たことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、海外調査を計画し、現地ガイドなどを依頼する等経費がかさむと見込まれ、ガイド旅費や謝金に充当する予定としている。
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