2014 Fiscal Year Research-status Report
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26381042
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
山崎 準二 学習院大学, 文学部, 教授 (50144051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 文彦 静岡大学, 教育学部, 教授 (30216288)
長谷川 哲也 静岡大学, 教育学部, 講師 (90631854)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教師 / ライフコース / 継続的縦断的調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014(平成26)年度は、これまで継続的に取り組んできた調査研究作業と密接な連続性を有している質問紙調査とその量的統計的分析が中心的研究作業課題であった。具体的には、静岡大学教育学部を卒業し静岡県下の小・中学校教師となっていった現職教師たちを継続的な同一対象として、1984年8月実施の第1回目調査とそれ以降5年間隔で実施してきた6回の調査に続く第7回目の質問紙調査を、2014年8月に実施した。 教師の養成と現職研修に関する政策的展開とコーホートの大幅な入れ替えが生まれることによる教師文化と意識の変容という新しい時代的変化の下での新たなデータを収集・分析・蓄積していく必要とともに、それらを過去6回の質問紙調査や過去2回のインタビュー調査のデータとも比較考察する必要があるため、対象者の選定や質問内容などの点で大幅な変更は行わず、これまでのものを基本的に踏襲した。 従来の調査対象者から退職後10年を経過する第1~4コーホートを外し、第5~12コーホートと新しく入職して新任期にある第13コーホートを調査対象者とし、総計2064名に対し自己記入方式質問紙票を郵送し、返信用封筒にて回答・返送を依頼した。宛先不明者を除く全体の回収票数と回収率は、676票(35.7%)であった。調査を重ねるごとに回収率が低下してきているが、それでもいまだ郵送法としては比較的良好であったといえる。 分析作業は、これまでの調査結果と比較しながら、現在進行中であるが、今回新しく加えた「自らのライフコース上の転機を語る言葉・思いに着目して、経験の中で蓄積されてきた実践知を明らかにしようとする質問」には、自由記述でありながらも全体回答者数の67.5%から回答記述が寄せられた。分析作業は、2015年7月までには終え、報告書を作成していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度研究実績欄でも述べたように、従来の調査対象者から退職後10年を経過する第1~4コーホートを外し、第5~12コーホートと新しく入職して新任期にある第13コーホートを調査対象者とし、総計2064名に対し自己記入方式質問紙票を郵送し、返信用封筒にて回答・返送を依頼した。宛先不明者を除く全体の回収票数と回収率は、676票(35.7%)であった。調査を重ねるごとに回収率が低下してきているが、それでもいまだ郵送法としては比較的良好であったといえる。分析作業は、これまでの調査結果と比較しながら、現在進行中であるが、とくに教員採用急減期に養成教育を受け入職してきた第10,11コーホート(現在の30歳代教師)と教員採用好転期に入ってから入職してきた第12,13コーホート(現在の20歳代教師)、それらと比較する意味での第8,9コーホート(現在40歳代教師)に焦点をあてることによって、それぞれのコーホートとしての集団的特徴が明確になるであろう。また、今回新しく加えた「自らのライフコース上の転機を語る言葉・思いに着目して、経験の中で蓄積されてきた実践知を明らかにしようとする質問」には、自由記述でありながらも全体回答者数の67.5%から回答記述が寄せられた。若い教師に集中的集約的に表れている今日の教師全体の発達や力量形成上の問題点、あるいは職場や教職員集団の抱えている問題点をも、逆照射していくとともに、若い教師たちの発達と力量形成を支え促すサポート体制構築に結実させていくことにもなると考える。 分析作業は、2015年7月までには終え、報告書を作成していく予定であり、おおむね順調に進展してきている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目にあたる2015(平成27)年度は、1年目に実施した質問紙調査結果を踏まえつつ、下記12人の教師に対するインタビュー調査を実施し、その質的事例的分析を行う計画である。インタビュー調査は、複数で行う予定であり、これまでの単独によるインタビュー調査の問題性(多様な視点からの聞き取りと解釈ができなくなるなど)は克服できると認識している。なお、インタビュー調査の趣旨を貫徹させ、また調査対象者に無用な警戒心を与えないことを優先する。 インタビュー調査対象予定者:第8コーホート(A教師:男性、自らの中学校時代と中学校勤務時代に生徒の“荒れ”に直面し悩む、その後小学校勤務に転じる。B教師:女性、部活動と管理主義教育と受験体制の中で育つ、小学校勤務。)/ 第9コーホート(C教師:男性、大学院卒、授業研究に熱意を持つが、理想と現実の狭間で悩む。D教師:女性、新任一年目の学級づくりにつまずく)/ 第10コーホート(E教師:男性、自ら不登校体験を持つ、新任期に様々な問題を抱える児童たちと格闘。F教師:女性、小学校時代から憧れていた教職の道に入るが、保護者との関係づくりに格闘。)/第11コーホート(G教師:男性、小学校教師をめざし工学部から教育学部へ転部、新任期に「師匠と呼べる先輩教師」に出会う。H教師:女性、中学校部活動指導に悩む、小学校に転じ現在育児中。) / 第12コーホート(I教師:男性、大学時代から学校参加体験を有する、小学校社会科授業研究に熱意。J教師:女性、障害を有する家族を持つ、特別支援学校教師。) / 第13コーホート(未定) 以上、12名を予定しているが、第8~12コーホートに属する10名はこれまでにおいてもインタビューを実施してきており、今回はその追跡的インタビューとなる。インタビュー調査には質的事例的な分析を加え、結果を報告していく予定である。
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Causes of Carryover |
現職教員対象の質問紙調査を実施し、その量的統計的分析を進めてきたが、過去6回の調査結果との比較分析も必要なため、その報告書作成が年度内では終了できなかった。分析作業は順調に進んでいるが、報告書の作成と回答者(希望者のみ)への配布(研究成果の還元)は、無理に年度内に行わず、次年度(研究2年目)の春から夏に行う判断をした。そのため、その印刷費及び郵送費ための金額が次年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究2年目は、学校現場の夏季及び冬季休業期間を中心に、現職教員のライフコース・インタビュー調査を実施する予定であり、研究2年目の予算は、そのための実施経費(特に謝金及び聞き取りの記録の文字化作業費)が中心である。上記「理由」欄に明記したように、研究1年目からの次年度繰越金は、質問紙調査報告書の印刷費及び郵送費として使用する計画である。
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Research Products
(2 results)