2015 Fiscal Year Research-status Report
教職大学院において質の高いコミュニケーション力を形成する教育方法の開発的研究
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26381051
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
水本 徳明 同志社女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90239260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久我 直人 鳴門教育大学, その他の研究科, 教授 (20452659)
前田 洋一 鳴門教育大学, その他の研究科, 教授 (20580765)
佐古 秀一 鳴門教育大学, その他の研究科, 教授 (30153969)
小松 貴弘 京都教育大学, その他の研究科, 准教授 (40305032)
大林 正史 鳴門教育大学, その他の研究科, 講師 (40707220)
竺沙 知章 京都教育大学, その他の研究科, 教授 (60243341)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教職大学院 / コミュニケーション / 教員養成 / チーム / 協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年4月及び2016年2月にグループ討議実験を実施した。対象者は、京都教育大学連合教職大学院と鳴門教育大学教職大学院の2015年度入学の新規学卒院生及び現職教員院生それぞれ5名である。大学院間の比較、新規学卒院生と現職教員院生の比較、4月と2月の比較が行えるように、両大学院、両グループ、4月と2月の両機会に同じテーマ、同じ手順でグループ討議実験を実施した。グループ討議実験は毎回録画、録音、逐語録作成を行い、質的な差とグループ討議実験を捉える視点について検討した。その結果、次のようなことが明らかになった。第一に、各グループ共通に、関係志向が強く、自己の既有のパターンに他者の意見を当てはめて解釈し、見解の相違を深く追究しない傾向がある。第二に、討議の進め方やまとめ方には大学院間で差がみられ、そこにカリキュラムが影響していることが予想される。 院生のコミュニケーションの質に対する教職大学院のカリキュラムの影響を明らかにするために、京都教育大学連合教職大学院では、グループ討議実験の対象者に対して、前期、後期の終了時点において、それぞれの期間における学習内容について振り返るレポートの作成を求めた。また、両大学院のカリキュラムについて比較検討するとともに、鳴門教育大学のメンバーによる京都教育大学連合教職大学院の授業観察を行った。その結果、講義科目と演習科目の枠付けの強さ、科目間の関連付けの強さ、授業内でのグループ討議指導の方針などの点で両大学院の差異が明らかになった。 教職大学院における教育について、ワイク(2001)の意味形成論およびLuhmann(2000)の組織システム論を中心とした理論的検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グループ討議実験とカリキュラムの検討を予定通り実施することができたので、「おおむね順調に進展している」とする。 やや計画通りでないのは次の2点である。 第一は、鳴門教育大学においてグループ討議実験へのカリキュラムの影響を明らかにするためのデータ収集についてである。鳴門教育大学では院生が毎週の学習内容をレポート(週録)にして提出しているが、それを本研究で使用できるよう目的外使用の承認を得る手続きが遅れている。 第二は、理論研究である。ワイクの意味形成論やルーマンの組織システム論に基づいて、教職大学院における教育についての理論的検討を行ったものの、グループワーク自体についての理論的検討がやや遅れている。それは、理論的に基づいてグループ討議実験を分析するのではなく、グループ討議実験の分析を探索的に進め、そこで明確になってきた論点を理論的な観点から検討するという手順で理論研究を進めるように方針を変更したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
1.グループ討議実験データの分析と結果の発表 グループ討議実験の分析を進め、その成果を発表する。両大学院の新規学卒院生のグループ討議実験の分析結果を2016年6月の日本教育経営学会第56回大会(京都教育大学)で発表予定である。 2.カリキュラムとの関連の分析 グループ討議の質とカリキュラムの関連を分析する。鳴門教育大学の週録の目的外使用の承認を得て、分析を進める。 3.理論研究の推進 グループ討議実験データの分析の結果を踏まえて、そこで浮かび上がってくる論点に関連した理論文献を収集し、検討を進める。 4.開発的研究の推進 以上を踏まえて、教職大学院においてグループ討議を中心としたコミュニケーションの質を改善する指導方法を検討し、具体的な方策を開発する。開発した授業改善は2017年度に実験的に実施して効果を検討するが、2016年度においては可能な範囲で実施して院生の受け止め方や反応を把握する。
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Causes of Carryover |
理論研究がやや遅れていることに伴い、文献購入等の資料収集にかかる費用の支出が少なかった。また、両大学院における授業観察等についても、予定より回数が少なかったために、旅費の使用についても若干少なめであった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
グループ討議実験の分析を進めて明らかになった論点に応じた文献等の資料を収集し、理論的検討を進める。図書等の文献の購入、収集費用として次年度使用額を使用する。 また、2016年度は開発的研究にも着手するため、両教職大学院における授業改善に取り組む。授業改善の構想、実施、観察、記録、振り返りを充実させるために、次年度使用額を旅費として使用する。また、授業改善のための情報収集として他教職大学院の観察も実施する予定であり、そのための旅費として使用する。
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Research Products
(4 results)