2015 Fiscal Year Research-status Report
共同学習・生活史学習の教育学的再検討-歴史・比較・実証研究
Project/Area Number |
26381060
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
姉崎 洋一 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 特任教授 (80128636)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 かおる 福島大学, 行政政策学類, 教授 (10282253)
武田 るい子 清泉女学院短期大学, その他部局等, 教授 (20442171)
辻 智子 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20609375)
長澤 成次 千葉大学, 教育学部, 教授 (50172523)
宋 美蘭 北海道大学, 教育学研究科(研究院), その他 (70528314)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 共同学習 / 生活史学習 / 英国成人教育 / 韓国代案学校 / 生活記録学習 / creative writing / WEA / socio drama |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、前年度の英国調査(2015.3.14-21)、韓国調査(2015.3.30-2016.4.5)を受けて、2015年9月22日に北大にて研究打ち合わせ(相互報告)を行い、進捗状況とその後の研究調査計画を確認した。(姉崎洋一、辻智子、宋美蘭、武田るい子)その上で、 1,韓国調査を2015年10月16日から22日にかけて行い、日本社会教育学会と韓国平生教育学会との共催による日韓学術交流大会(済州島)で報告(姉崎洋一が英国関連報告、宋美蘭が韓国代案学校関連報告)後、ソウル地区の代案学校調査【姉崎、宋)ソウル大学研究者インタビュー(姉崎)などを行った。 2,英国成人教育調査を2016年2月14日-22日にかけて行った。ロンドン大学、リーズ大学、リーズスワスモア学習センター、シェフィールドWEAを訪問調査、インタビューを行った。(姉崎、武田)英国成人教育の最新動向、当事者へのcreative writingやsocio dramaなどの表現方法支援などで新たな知見を得た。 3,研究打ち合わせを2016年3月20日に北大で行った。(姉崎洋一、長澤成次、武田るい子、辻智子)2015年度のそれぞれの研究成果、進捗状況を報告した。 4,2016年3月末に、共同学習・生活記録学習の調査を長野県伊那にて行った。(辻智子) 以上を、前提にして各自が学会報告(姉崎洋一、宋美蘭、辻智子)、論文発表(姉崎洋一)、著書刊行(辻智子)などを行った。残された名古屋での生活史学習調査では、キーパースンであった那須野隆一氏の遺稿集刊行にあたって、協力し論稿を掲載した(姉崎洋一、長澤成次)が、調査の継続は次年度に残された。英国からの実践家と研究者の日本への招聘は、次年度に繰り越すことになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1,海外調査(英国、韓国)においては、対象地域における施設訪問、関係者聞き取り、必要なデータ、資料、書籍などの収集において当初の予定を上回るほどの成果が見られた。その成果については、学会発表、当該当事者との継続的な連絡、研究分担者の今後の研究発展(科研費基盤C 宋美蘭内定)にもつながった。 具体的には、英国では、①教育改革の動向と連動しての英国成人教育における行財政上の変化が著しいこと、②社会的な不利益層への支援のパーソナル・サポートの取り組みが大きく進展していること、③資格や技能獲得だけではなく、変動する社会を生き抜いていくための主体的な力量を発揮できるための自己表現、判断力、コミュニケーションを獲得することが重視されてきていること、④成人教育分野で多様な学習支援の方法の開拓、専門職の力量拡大がなされていること、⑤理論的な領域でも成人学習の総体的な革新が多様に論じられてきていることが明確になってきた。それらの中での、creative writing等への成人教育分野からの注目があることを確認してきた。韓国では、急激な産業変動と高学歴化の進展する中で、①疎外される若者や成人が増大し、それらへの支援方策の必要の高まり、②また既存の学校システムに対する批判の増大もあって、代案学校の急速な拡大がある。③またグローバル時代での国際結婚、外国人労働者などの増大、脱北者たちの増大などによって、それらの人々への教育・学習支援が急務となってきている。それらを受けての多様な学習支援方策には、生活記録、共同学習に通じるものがある。 2,国内の名古屋調査では、生活史学習の社会教育の学習論としての歴史的位置づけ、当事者のフォローアップ調査の見通しがついてきた。この理論的かつ実証的な記録化が、次年度の課題となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
1,2016年度は、残された英国からの実践家と研究者の招聘によるシンポジウムの開催と記録化、名古屋の生活史学習調査の追加調査を行う。 2,その上で、3年間の調査を踏まえてのまとめを行い、報告書を作成すること、成果をより社会的に還元できるように、学会発表、刊行物の計画化が必要になっている。 3,具体的には、①2016年秋に(9月-11月の間)、英国から、ロンドン大学バークベック・カレッジのミリアム・ズーカス教授(上級学部長)、リーズスワスモア学習センターのマギー・バタフィールド氏(センター長)を招聘してシンポジウムを行う。それを記録化する。②日本社会教育学会東海北陸6月集会(名古屋大学)にて、この科研名の基調報告を姉崎洋一が行い、当事者たちの報告と合わせて、記録化を行う。また当事者調査を行う。(姉崎、長澤成次、辻智子、武田るい子)、③日本社会教育学会大会(弘前大学)にて報告を行う。(姉崎、武田るい子、宋美蘭) 4,2016年度末に、各自の研究成果を活かした報告書を作成する。またその内容をもとにした刊行物(書籍)を計画する。
|
Causes of Carryover |
1,2015年当該年度予定した、英国からの実践家と研究者によるシンポジウムを実施できなかったことと追加調査を韓国と名古屋で今年度(2016年度)に行う。これらをもとに報告書を作成する。以上の計画を実施する必要があることによる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
1,英国からの実践家と研究者の招聘によるシンポジウムを行う。2,名古屋のフォローアップ調査を引き続き行う。3,追加韓国調査を行う。4,報告書を刊行する。
|
Research Products
(8 results)