2015 Fiscal Year Research-status Report
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26381109
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Research Institution | Kwassui Women's College |
Principal Investigator |
湯田 拓史 活水女子大学, 健康生活学部, 講師 (20448161)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高校入試 / 通学区 / 総合選抜 |
Outline of Annual Research Achievements |
兵庫県内の国公立高等学校2校と高知県の私立学校1校、長崎県の私立学校1校で高校生と保護者対象のアンケート調査を実施した。対象とする自治体での調査を達成した。学校側の協力もあり、生徒からの回答率は9割以上を確保できた。さらに保護者からのアンケート調査票の返信については、3割前後を達成した。これは当初予定よりも高い回答率である。 高知県の私立高等学校での学籍簿調査について、入力作業をおこなった。当初の計画通り、2016年度中の分析作業に向けて、データの精査を実施した。データの欠損があり、すべての在籍者を網羅できなかったが、9割がたの生徒データを入力した。入力項目は、兄弟順、出身小学校、保護者情報、保証人情報、学力、身体データ、進路である。 昭和30年代から40年代に、兵庫県の高校入試を担当した元公立学校長へのインタビュー調査に向けて対象者の選定と連絡先の確認を仲介者の協力でおこなった。 兵庫県の高校入試制度に関する新聞記事収集と兵庫県議会の記録の検証をおこなった。昭和23年度から昭和61年度までの約40年間の高校入試に関する記事については、地方紙である『神戸新聞』および全国紙である『朝日新聞』の閲覧をおこなった。兵庫県内の高校入試については、姫路市で実施された『姫路方式』の実態に関する検証をおこなった。これまで不明であった市町村独自の合格者配分方式である『姫路方式』の特徴として、単独選抜の手続きで受験した高校入試合格者を近隣の定員割れの公立高校へ就学指定させるものであったことを明らかにし、これが総合選抜制度の一形態であったことを示した。これは、都道府県教育行政とは別の市町村教育行政の意思が反映した行政施策であったことを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画として設定していた作業である、「高校アンケート調査」「学籍簿調査」「新聞記事」「インタビュー調査」の進捗状況については、次の通り。 「高校アンケート調査」は、兵庫県内の国立大学附属中等教育学校1校、公立大学附属高等学校1校、高知県内の私立高等学校1校、長崎県内の私立高等学校1校で調査を実施した。これは、当初の予定通りである。ただし調査対象校は、少人数教育の高校を含んでいるため、データ総数は750人程度である。 「学籍簿調査」は、大正期から終戦直後までの800人余の生徒についてのデータ入力を終了した。入力については、これまでの先行研究で検証された項目を設定している。配慮すべき人権項目については、入力時において慎重に確認をしている。 「新聞記事」は、昭和23年から昭和61年までの新聞記事を約2000記事収集した。そのうち、兵庫県の入試動向の特徴を端的に記した記事については、ワード文書として打ち込み中である。 「インタビュー調査」については、調査協力者からインタビュー調査対象になるうる元校長先生たちの紹介を受けた。インタビュー調査にむけての聞き取り項目の精査を実施中である。
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Strategy for Future Research Activity |
「高校アンケート調査」については、SPSSを用いて分析作業を進める。生徒と保護者について、県別学校別の違いを明らかにする。 「学籍簿調査」については、SPSSを用いて分析作業を進める。大正期から終戦直後までの生徒動向について、時期別の特徴を明らかにする。 「新聞記事」から約40年間の高校入試についての受験生と保護者の意識変化を検証する。とりわけ選抜試験での競争と学校選択についての意識変化に注目する。 「インタビュー調査」は、調査可能の対象者からインタビューを実施していく。制度黎明期での入試業務担当者としての意識や手法の工夫についての情報を取得する。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査の旅費とする予定であったが、インタビュー調査対象者の都合により、調査が延期となったため残余金となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度においてインタビュー調査を実施する。そのための旅費として使用する予定である。
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