2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the burden of students and parents in secondary education
Project/Area Number |
26381109
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
湯田 拓史 宮崎大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (20448161)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学校設置 / 入試方式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の研究課題として掲げた3つの項目別に実績概要を述べる。 第一に、歴史調査について、兵庫県での入試状況の中長期的変遷を明らかにした。とりわけ、これまで不明であった市町村別の取り組みについて、姫路市で実施されていた「姫路方式」という合格者の通学先配分方式の実体とその限界を明らかにした。戦後の高校入試では、「学校選択」が社会過程から惹起して生徒と保護者の通念として定着した。それに対して、行政団体では生徒と保護者の反応にいち早く対応した市町村教育委員会とそうでない市町村教育委員会とに分化した。さらに兵庫県教育委員会は、市町村教育委員会別の対応の違いを一元化せずに、通学区ごとに多様な選択に委ねさせたことで、他府県とは異なった混合型の高校入試方式が展開されたことを指摘した。 第二に、生徒保護者へのアンケート調査を兵庫県・高知県・長崎県の計4校で実施した。近年の教育改革として市立高等学校無償化政策についての見解も問う質問項目に、これまでの科研費調査で実施した学校満足度調査と通学負担に関する項目を質問しに盛り込んだ。その結果、志望校進学や無償化の恩恵を得られるのならば、通学の負担については優先度を下げる傾向があることを明らかにした。さらに、学校寮や下宿の利用についても、それ自体が学校選択する際の重要項目とはいえなかった。これは、通学区の広域化による「通学」に対する生徒保護者の意識の変化を示していると考える。 第三の都道府県調査では、当初の対象地である佐賀県は知事が交代したことで実施できなかった。その代替として兵庫県と姫路市との教育費の中長期的変遷、高知県の公立学校と私立学校の構成と教育費の中長期的変遷を調べた。この作業を通じて、対象地域特有の進学経路の特性をみる枠組み形成を試み、私立学校無償化政策の有効性を検討できるような理論構築に努めた。
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