2015 Fiscal Year Research-status Report
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26381116
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Research Institution | The Institute of Buraku Problem |
Principal Investigator |
梅田 修 公益社団法人部落問題研究所, その他部局等, 研究員 (90111905)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人権教育 / 人権としての教育 / 人権についての教育 / 人権教育研究指定校 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)国際的な人権教育の分析ーロンドン大学・教育研究所の文書館で、①国際教育権の研究方法上の諸問題、②包摂(inclusion)と排除(exclusion)に関する問題、③国際教育権における教育ニーズ概念の位置づけ、に関する資料を収集した。資料を収集した目的は、教育実践プロセス(目標・内容・方法・評価の過程)の全体が「教育人権(人権としての教育)」に位置づくことと、「人権に関する教育内容」を扱う「人権教育」の両者の関係を引き続き追求することにある。その後、学力テストなど教育内容編成をめぐる教育権侵害、包摂と排除、教育ニーズ概念の権利論における位置づけなどの課題を含め、研究方法上の諸問題、とりわけ教育学的手法と教育法学の両者(教育実践論と法的権利論)の区別と関連に焦点をあてて作業を行った。研究成果の一部は、八木英二「教育内容は誰がどのように決定するのか」『部落問題研究』212輯(2015年6月)に発表した。 (2)人権教育研究指定校における人権教育の分析ー2013年度・2014年度の二年間、文部科学省の人権教育研究指定校(幼稚園・小学校・中学校・高校)であった45校を対象に人権教育の資料を収集し、分析を行った。研究成果の一部は、森田満夫「人権教育研究指定校における人権教育」『部落問題研究』216輯(2016年4月)に発表した。 (3)自治体における人権教育方針の分析ー1996年に政府関係機関が人権教育を提唱して以来、地方自治体にも浸透し、同和教育方針にかわってあらたに人権教育方針が登場した。これをふまえて、滋賀県の自治体を対象に地方自治体の人権教育方針の分析を進めた。研究成果の一部は、梅田修「滋賀県における人権条例と人権施策基本方針」『部落問題研究』216輯(2016年4月)に発表した。 (4)人権教育実践の分析ー和歌山県の教師の実践を中心に、人権教育実践の分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)国際的な人権教育の分析ー二度(2014年度・2015年度)にわたるロンドン大学・教育研究所文書館での資料収集によって、近年の人権教育をめぐる国際的動向を検討することが可能となった。研究成果の一部はすでに発表した(前述)。収集した資料の分析をさらに進め、国際的な人権教育の分析を深める予定である。 (2)人権教育研究指定校における人権教育の分析ー2013年度・2014年度の二年間、文部科学省の人権教育研究指定校であった45校を対象に人権教育の資料収集と分析を進め、研究成果の一部はすでに発表した(前述)。 (3)自治体における人権教育方針の分析ー都道府県教育委員会における人権教育方針の収集を行い、特に「人権意識」「人権認識」「人権感覚」といった概念がどのように説明されているのかに焦点をあてて分析を進めている。なお、滋賀県については、自治体の人権条例・人権施策基本方針の収集・分析を行い、研究成果の一部はすでに発表した(前述)。同様の方法で、和歌山県における人権条例・人権施策基本方針の収集・分析を進めている。 (4)人権教育実践の分析ー和歌山県の教師の実践を中心に、人権教育実践の分析を進めてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)国際的な人権教育の分析ーロンドン大学教育研究所文書館で収集した資料の分析を進め、国際的な人権教育の到達点と課題について検討する。また、ヨーロッパ評議会における人権教育の資料の収集と分析を進め、ヨーロッパにおける人権教育の到達点と課題について分析を進める。研究成果の一部を『部落問題研究』誌に発表する。 (2)自治体における人権教育方針の分析ー都道府県教育委員会における人権教育方針の収集を行い、特に「人権意識」「人権認識」「人権感覚」といった概念がどのように説明されているのかに焦点をあてて分析を進める。また、和歌山県における自治体の人権条例と人権施策基本方針を収集し、分析を進める。これらの研究の成果は『部落問題研究』誌に発表する。 (3)人権教育における教育実践の構造に関する分析ー引き続き和歌山県の教師による人権教育実践の分析を進め、研究のまとめとして、人権教育における教育実践の構造の検討を行う。
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