2015 Fiscal Year Research-status Report
社会的困難の集中する地域において自立をめざす若者の支援に関する理論的・実証的研究
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26381118
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
木戸口 正宏 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (90405093)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教育学 / 自立支援 / 移行研究 / 格差・貧困 / 若者・青年研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015(平成27)年度における研究成果・実績は以下の通りである。 1)釧路市「高校進学希望者学習支援プログラム」(Zっと!Scrum)について、「学習支援事業」の先進例としての意義と課題を分析し、この事業が、単なる学習支援・進学支援の枠を超えて、参加した子どもたちの自尊感情の恢復を支えるとともに、子どもたちを支える多様な大人たちのネットワークを豊富化し、さらにはそのような関係形成の当事者として、子どもたち自身をエンパワーする、当事者の「生活全体を支える重層的な支援」の場となってきたことを明らかにした。 2)調査対象地域である釧路市における子どもの貧困と子ども・若者の社会的自立をめぐる課題について、地域の教育・福祉関係者を対象とした報告を行い、意見交換等によって新たな知見を得ることができた。 3)「若者の教育とキャリア形成に関する調査」(YCSJ)に研究分担者として参加し、インタビュー調査から得られた知見をもとに、「働くこと」を(とりわけ移行の困難を抱えている)若者たちがどのように経験しているのかについて分析を行った。 4)「若者支援政策の評価枠組み構築に向けた日欧比較研究~「社会的教育学」援用の可能性」に研究分担者として参加し、国内外の若者支援の実践について最新の知見を得るとともに、その分析枠組に関する調査研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画からの大幅な遅れはなく、おおむね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる本年は、研究成果のとりまとめを行うとともに、随時補足的な調査活動を行う。具体的には以下のように計画している。 1)釧路・道東地域における子ども・若者支援事業について、調査から明らかになった全体像を整理するとともに、必要な聞き取りを補足的に行う。 2)同様に、公的な統計調査や行政による政策文書等を更新するとともに、高校の進路指導担当教員や教育行政・労働行政の関係者への補足的な聞き取りを行う。 3)過去2年間に行った聞き取り調査データの詳細な分析を行うともに、引き続き学会報告や学術論文の作成に取り組む。また学会報告および執筆論文の到達をふまえ、申請者の責任において、さらに具体的な政策提言や学校教育実践・地域福祉実践に対する示唆を含んだ報告書を作成する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額については、計画初年度に発生したものの残金である。今年度については、ほぼ予算計画通り執行しており、大きな支障は生じていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度にあたる今年度については、研究成果報告書の作成・送付等に一定の予算が必要となるので、それに充てるとともに、補足調査等に必要な旅費等に充てる予定である。
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