2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26381121
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上田 孝典 筑波大学, 人間系, 准教授 (30453004)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生涯学習 / 終身教育 / 社区教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国における生涯学習法制化について、上海市と寧波市において調査を行った。 上海市教育委員会終身教育処の庄倹処長へのインタビューおよび華東師範大学黄健教授、馬麗華講師へのインタビューなど、研究交流を含めて上海市の条例制定前後の政策とその実践について知見を得た。また上海市内の長風新村社区学校など市内の社区学校で調査を行った。また12月には華東師範大学主催の日中韓3か国による生涯学習に関する国際シンポジウムが開催され、日本側のメンバーとして出席をした。 寧波市においては、寧波社区大学終身教育処趙文君副処長へのインタビューを行い、条例制定前後の政策と実践的蓄積についての知見を得た。また浙江省寧波市、慈溪市における社区教育学院や社区教育学校を訪問し、職員へのインタビューや施設見学を行った。 上海市、寧波市いずれにおいても、条例制定は生涯学習(社区教育)政策を推進するための法的根拠を示し、その財政的措置を得る目的であったことが指摘された。しかし、社会の変化や実践の展開の速さが、社区教育の現場では条例の規定と異なっている現状も示唆され、条例の内容ではなく、条例そのものを制定したことの意義が強調された。生涯学習政策においては、上海市では政府購買服務というNPO組織が実施する地域活動に対して政府が資金を提供する方式など、多様な担い手と事業の重層的な展開が見られた。寧波市においては、農民工に対する職業技術訓練に関わる事業やその指定に対する農民工子弟に対する学校の運営などが展開されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度で終了する計画であったが、研究の進捗が遅れたため、研究期間を1年延長することになった。その理由として、中国側との調査日程の調整が合わず、現地調査が遅れたことや、調査候補地の関係者の紹介が得られなかったこと、また本研究で計画していたシンポジウムと同時期に中国で同様のシンポジウムが計画されていたことなどによる。 これまでの現地調査によって概ね有益な情報は得られているが、上海市と寧波市以外の条例制定地での調査ができるよう引き続き関係者へのアポイントを取るとともに、重要な政策文書については今後の研究に活用できるよう資料として翻訳している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、未調査地域を主眼に補充調査を実施するとともに、資料集の作成を進めていく。また本研究のテーマである生涯学習関連法制に関して、中国・韓国の研究者を招聘して国際シンポジウムを開催する。招聘予定者についてはすでに内諾を得ている。 シンポジウムの成果を踏まえて、研究の最終報告書をまとめ、資料集と併せて広く提供する予定である。
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Causes of Carryover |
研究の更なる精緻化を図るため、計画していた現地調査の回数を追加することと、それに伴い延期した国際シンポジウムの開催と研究成果をまとめた最終報告(含資料集)の発行を行うため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
補充の現地調査を2回実施する。(30万円) 中国・韓国の研究者を招聘して生涯学習の法制化に関する国際シンポジウムの開催(100万円)、研究成果をまとめた最終報告書の発行(50万円)などを計画的に行う。
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Research Products
(4 results)