2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26381128
|
Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
中山 あおい 大阪教育大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00343260)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 教師教育 / チューリッヒ / 移民の子どもの支援 / QUIMS / 多文化学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
スイスの移民の子どもに対して行っている学力支援やサポートについて、特に移民人口の多いチューリッヒに着目し、そこで行われている「多文化学校における質(QUIMS)」プログラムがどのような理念において計画され、実践に移されているのかを知るために、2014年3月5日に北西スイス教育大学において聞き取り調査を行った。QUIMSの近年の動向として、「書く」ことに力点が置かれていること、またそのためのプロジェクトを各学校において奨励するとともに、チューリッヒ教育大学とともに教師教育を行っていることが明らかになった。このことから、QUIMSにおいては「書く」能力の向上を通して、低学力層の学力改善を図ろうとしていると考えられる。 また、2014年3月6日にチューリッヒ教育大学を訪れ、Beatrix Zumsteg教授の教員養成プログラムの参与観察を行った。その結果、移民の子どもの教育や子ども達の多様性が、現代社会で重要な教育課題の一つとして取り上げられていることがわかった。スイス教育大学では、この他にも東欧への海外研修や「多様性とコミュニケーション」等がカリキュラムに組み込まれ、多様な言語や文化的背景を持つ子どもの教育について教員養成の段階から体験的に学ぶ工夫がなされていることがわかった。 さらに、チューリッヒ教育省における聞き取り調査を相対化するために、フランス語圏にあるジュネーブの教育省においても移民の子どもの支援の実態について聞き取り調査を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教員養成大学の「異文化間教育」のカリキュラムを分析し、QUIMSのための教師教育や、教員養成段階で行っている「異文化間教育」関連のカリキュラムや教材について具体的に把握する、という当初の研究目的は順調に達成されている。 また、移民の子どもの教育支援の背景にある教育理念については、教員養成段階から子どもの多様性を重視している点で、またQUIMSプログラムに「異文化間教育」が扱われている点で、言語支援などの補償教育よりは広い理念から、移民の子どもと向き合おうとしていることがうかがわれ、当初の目的として挙げていたQUMSの教育理念が解明されつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
QUIMS を行っている教育現場において授業観察を行い、カリキュラムや指導方法等の教育効果について検討するとともに、 QUIMS 担当教員の教師研修を行っているチューリッヒ教育大学を訪問し、①QUIMSに関する教師教育のカリキュラムに関する資料収集を行い、②QUIMSの教師教育のカリキュラム作りや、教員養成において「異文化間教育」関連の授業を行っている担当者を訪れ、QUIMSを行う教師に対する教育大学の支援のあり方についてインタビュー調査そ実施する。 またQUIMSの教育理念については、今回の調査で明らかになった重要な教材や文献を中心に解明を続ける。 さらに、チューリッヒの取り組みを相対化するために、移民の子どもが多いフランス語圏のジュネーブについても教員養成を担う大学を中心に引き続き調査を行う。
|
Causes of Carryover |
スイスでの海外調査の日程が、先方との日程調整の結果、年度末の3月になり、インタビュー調査のテープ起こしや文献の購入、謝金等を年度内に申請するのが不可能となり、次年度に申請することになったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度の海外調査において行うインタビュー調査のテープ起こしを申請する際に、26年度のインタビューのテープ起こしも合わせて申請する。また、27年度に購入する文献に、26年度に購入予定だった文献と合わせて購入する。
|