2016 Fiscal Year Research-status Report
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26381128
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
中山 あおい 大阪教育大学, 国際センター, 准教授 (00343260)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 移民の子どもの支援 / 教員養成 / 教師教育 / QUIMS / チューリッヒ / ジュネーブ / 多文化学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度に調査したチューリッヒ教育大学の教員養成や教師教育を相対化するために、フランス語圏のジュネーブにあるジュネーブ大学の心理・教育学部を訪問調査した。スイスの教員養成は教育大学で行っていることが多いが、ジュネーブ大学には心理・教育学部があり、学部3年間のカリキュラムにおいて、子どもの言語的・文化的多様性に関するコースがあることがわかり、資料収集とカリキュラム分析を行った。学部初年度には「教育の異文化的・国際的側面」「教育の異文化的・国際的アプローチに関する入門セミナー」、次年度以降は「学校と移民の流入:国際的な比較」などが選択必修としてあり、多様な子どもの教育について多角的な観点から理解を深めるカリキュラムが提供されていることとがわかった。そして「教育の異文化的・国際的側面」を担当している教授に、教員養成や教師教育についてのインタビュー調査を行うとともに、授業見学を行なった。また、同教授の協力のもと、教員養成課程の学生に質問誌調査を実施した。さらに、多様な言語的・文化的背景をもつ子どもが多く在籍しているジュネーブ郊外の小学校を訪問し、授業見学を行うとともに、教師へのインタビューを行った。 成果発表については、平成27年度までに行ったチューリッヒ教育大学の調査を基に、多文化に開けた教員養成や教師教育の在り方について検討し、2017年2月22日に東京学芸大学教員養成カリキュラム開発研究センターにおいて「スイスの多文化に開かれた教師教育」というタイトルで講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度において、それまでに行った調査内容を整理、吟味し、チューリッヒの取り組みを相対化するために他州(カントン)との比較を行うことを今後の研究計画にしており、平成28年度はフランス語圏のジュネーブ大学の心理・教育学部を訪問調査し、情報収集と授業見学を行い、当初の目的をほぼ達することができた。 また、調査を通して明らかになった移民の背景のある子どもに対する支援の実態と、多文化に開けた教員養成や教師教育の在り方を検討し、発表するという計画においては、2017年2月22日に東京学芸大学教員養成カリキュラム開発研究センターにおいて「スイスの多文化に開かれた教師教育」というタイトルで講演を行うことで、研究成果の一部を公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行った調査内容を整理、吟味し、必要に応じて文献調査や海外調査を行う。 そして調査を通して明らかになった多様な言語的・文化的背景をもつ子どもへの支援をどのように学校開発のなかで実施しているのか、また多文化に開けた教員養成や教師教育のカリキュラムや学校現場との連携の在り方を検討し、多文化化が進行する日本の教育への示唆を導き出し、その研究成果を学会等で発表する。
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Causes of Carryover |
海外調査の実施が年度末になり、インタビューのテープ起こしや、質問紙調査の整理に関わる謝金を次年度に繰り越す必要が生じた。また今年度の調査に加わえて、追加の海外調査が必要となり、次年度に実施することにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度は、28年度の海外調査の研究成果を吟味し、追加の海外調査を実施する。また、28年度の海外調査において行うインタビューのテープ起こしや資料整理の謝金を、28年度調査分と合わせて申請する。さらに研究成果を学会で発表するための国内旅費を申請する。
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