2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26381229
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
坪能 由紀子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (50027710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駒 久美子 和洋女子大学, 人間・社会学系, 助教 (10612608)
今田 匡彦 弘前大学, 教育学部, 教授 (30333701)
水戸 博道 明治学院大学, 心理学部, 教授 (60219681)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Inside or Outside / 音楽理解の切り口 / 音楽鑑賞 / 音楽づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の学校教育においては,音楽そのもの(Inside)ではなく,音楽以外のものを切り口(Outside)として音楽を教えることが多かったが,そのために音楽ではなく,音楽以外の情景等の鑑賞が中心になったり,音楽づくりにおいては効果音をつくる活動に堕したりすることが問題とされてきた。本研究は,Outsideの何が問題なのか,あるいはInsideとOutsideの関係をどのようにとらえなおすかを,①教材の分析的研究,②これまでの事例の分析,③国内外での新たな実践の提案,④これらの研究成果をふまえた新たな概念の提案,を通じて行うことを目的とする。 平成26年度は「Creativity Conference 1」(6月28~29日,日本女子大学)および日本音楽教育学会大会共同企画でシンポジウム「Inside or Outside2」で発表。前者で坪能は,これまで教材化されてきた多様な様式の音楽とその教材化の方法を分析しつつ「Commonality」という概念を提案した(①②④)。これにより,InsideでもなくOutsideでもない,新たな教材化のための切り口が開かれたと考える。後者では日本伝統音楽における情景描写の特性について発表・討論を行い,ともすれば単なる効果音にはしりがちな日本伝統音楽の鑑賞に「様式的効果音」という概念を提案した(①④)。 Journal of Creative Music Activity for Children vol.3(平成27年3月発行)では,いくつかの様式の音楽における鑑賞及び音楽づくりの授業のための案が出され,ここでもInsideでもなくOutsideでもない,新たな教材化のための案がいくつか提起された(③)。 「新しい音楽教育を考える会」(8月8~10日,日本女子大学)では,近藤譲氏(作曲家,元お茶の水女子大学副学長),大竹紀子氏(ピアニスト) ,遠藤尚美氏(ジャズ・ピアニスト),吉原佐知子氏(箏奏者)が発表を行い,それぞれが専門とする音楽様式の分析をもとに,音楽理解のためのあらたな切り口を提案した(①④)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内の小中学校における実践授業の提案,複数の研究者・プロの音楽家と連携した学会等での発表やシンポジウム,レクチャーや,レクチャー/コンサートの実施,ジャーナルの発行などについてはおおむね順調に推移している。 ただ,当初の計画では,3月下旬にイギリス,ドイツなどを研究責任者と担当者全員が訪問し,各地における鑑賞,音楽づくりの授業の調査や,研究者との交流,小中学校などで音楽づくりワークショップ,あるいは日本伝統音楽の楽器を使ってのデモンストレーションを行う予定であった。しかし研究責任者である坪能が平成26年10月に体調をくずし,27年3月に渡欧することは不可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
「Creative Conference 2」(6月28日,日本女子大学)では,「Creativity in Music education」と題するシンポジウムを,研究責任者,担当者を中心にゲストをよんで行う予定である。「日本音楽教育学会(宮崎市,10月3~4日)にも,新たに「InsideとOutsideの架橋としてのCommon-side」というタイトルで応募予定。 「Journal of Creative Music Activity for Children vol.4」は「Listening of the first step of・・・」として,「聴く」ことの重要性を特集する。 平成27年度3月に実施できなかった渡欧しての調査研究については,平成28年3月に1年遅れで実施する予定である。イギリス及びドイツ(またはオーストリア,ポルトガルを予定)などを研究責任者と担当者全員が訪問し,各地の鑑賞・音楽づくりの授業の調査,研究者との交流を行い,小・中学生とともに,主に日本の伝統音楽と楽器を使ってのデモンストレーションと音楽づくりを行う予定である。この結果については平成28年10月開催予定の日本音楽教育学会(横浜国立大学)における大会で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
2015年3月下旬にイギリス,ドイツなどを研究責任者と担当者全員が訪問し,研究者との交流,小中学校などでの音楽づくりワークショップ,あるいは日本伝統音楽の楽器を使ってのデモンストレーションなどの調査を行う予定であった。しかし研究責任者である坪能が平成26年10月に体調をくずし,27年3月に渡欧することは不可能となり,その部分の経費が次年度使用額として繰り越された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年3月には,研究責任者と担当者全員が,イギリス,ドイツ(またはオーストリア,ポルトガル)などでの実践研究および各種調査を行う予定である。
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