2016 Fiscal Year Research-status Report
民主主義理念と次世代市民の道徳性育成の歴史的展開と将来像に関する研究
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26381270
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Research Institution | Okayama Shoka University |
Principal Investigator |
伴 恒信 岡山商科大学, 経営学部, 教授 (70173119)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 民主主義 / 道徳性育成 / 次世代市民 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度-平成28年度本研究課題「民主主義理念と次世代市民の道徳性育成の歴史的展開と将来像に関する研究」の最終年度である平成28年6月にはイギリスの国民投票でのEU離脱の決定に加え、平成29年1月にはトランプ氏のアメリカ大統領就任といった世界の大方のマスメディアや識者の予測を覆す事態が起こった。欧米社会に沸き起こるこうした自国第一主義や排外的なポピュリズムの流れの中で欧米各国が社会理念に掲げてきた人権尊重と民主主義の精神的伝統が瓦解の危機にさらされている。平成29年度に実施されるフランス大統領選挙やドイツの総選挙においても同様の政治潮流が続き、結果としてEUの崩壊へと至るのか、あるいはEU統合の理念の命脈が保たれるのか、現在正にその岐路に立っている。グローバルな民主主義理念の普遍化を前提にした本研究の仮説が妥当性を保ち得るのかを確認するためにも、平成29年度1年間の研究期間の延長を申請したのである。 平成28年度は上述の国際情勢を踏まえ、欧米諸国の地政学的ならびに思想的背景を歴史にさかのぼって遡及してきたフランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド、フランス経済学者・思想家のジャック・アタリ、イギリスの社会学者アンソニー・ギデンズ、アメリカの歴史学者マーク・マゾワーなど、経済、社会、思想の各分野の碩学の著作の収集とそれらに共通する思索方法と文脈の解明に当たった。 また、平成28年9月には昭和女子大学押谷由夫教授の研究プロジェクトの研究協力者としてイギリス・ロンドン市内および近郊の学校視察を企画実施して、各学校での宗教教育ならびに道徳教育のフィールドワークを実施するとともに、EU離脱を決めた後のイギリスの国内情勢を現地で観察してきたのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年4月のフランスの第1回大統領選挙で勝ち残った国民戦線のルペン党首と中道系独立候補のマクロン氏の間で5月に決戦投票が行われ、現時点の世論調査ではEU支持と難民受け入れを表明しているマクロン氏が勝利すると予想されている。平成28年12月のオーストリア大統領選挙および平成29年3月のオランダ総選挙でも極右政党が敗退し、これから9月に行われるドイツの連邦議会選挙でも極右政党「ドイツのための選択肢」が敗れるとの世論調査の結果が示されており、欧州では懸念されていたEU崩壊につながるようなポピュリズムの風潮の進展は防げそうではあるが、未だ予断は許されない。 こうした現実の国際動静の理解と掌握によってはじめて、本研究の仮説となっている人権尊重と民主主義理念の普遍化が改めて世界人類の歴史および将来の国際社会においてどんな意義を持ち、いかなる方法をもってその障壁を乗り越えていけるのかが明らかになると思われる。その意味でも早急に現時点で結論を求めるのではなく、多少時間をかけても今後の推移を見守る価値があると考えるのである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は上述の方向で鋭意研究を推進するとともに、秋には欧米諸国の然るべき研究者が集う国際会議及び研究機関で研究仮説に係る論議を行えるよう研究内実の深化に努めたい。
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Causes of Carryover |
本年度の研究成果の概要及び進捗状況でも述べたように、本年5月に行われるフランス大統領選挙の決戦投票や9月のドイツの総選挙においてもさらにポピュリズム風潮が強まり、EUの崩壊へつながる可能性が残されている。グローバルな民主主義理念の普遍化を前提にした本研究の仮説が妥当性を保ち得るのかを確認するためにも、平成29年度1年間の研究期間の延長が必要である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は文献研究を通じての歴史的文脈の掌握を続けるとともに、今秋に予定されている民主主義の行く末を論議する国際会議等への参加や現地調査を実施する。上述の研究推進のための資料文献購入や海外渡航費に使用する。
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