2014 Fiscal Year Research-status Report
部活動学習到達度尺度を用いた「教育活動としての部活動」の具体化にむけた実証的研究
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26381278
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
吉田 浩之 琉球大学, 教育学部, 准教授 (30461198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
来田 宣幸 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (50452371)
原田 隆史 ビジネス・ブレークスルー大学, 経営学部, 教授 (70368588)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 部活動 / 学習目標 / 学習目標到達度尺度 / 中学校・高等学校 / 質問紙調査 / 部活動指導者育成 / 教員養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
中学生・高校生用の部活動の学習目標を抽出し,その到達度を評価できる尺度(部活動学習目標到達度尺度)を作成するために,先行研究の結果に基づき作成された54項目の質問紙を用いて中学生および高校生(5,735名)を対象に横断的な質問紙調査を実施した。その結果,因子分析(最尤法,Promax回転)によって,6つの因子(「友人」「専門性・競技力」「ルール・マナー」「貢献」「支援」「公正さ・配慮」)が得られた。 学年との関係について検討した結果,「貢献」は中・高校生ともに3年生が他学年と比較して有意に高い値を示した。性差では,「専門性・競技力」が男子は女子と比べて高い値であった。また,中学生では,「友人」「ルール・マナー」「支援」で女子が有意に高い値を示し,「公正さ・配慮」では中・高校生ともに女子が有意に高い値であった。部活動の種類による違いを検討した結果,有意な主効果がみられた。以上の結果から,部活動における学習目標を概念的に整理することができ,部活動場面における生徒の理解と豊かな部活動の発展に対して,新たな視点からの貢献ができる可能性を得ることができた。 また,本尺度と部活動の適応感尺度(「存在感」と「不安感」の2因子で構成)との関係を検討した結果,「専門性・競技力」「貢献」「支援」と「不安感因子」には有意な関係は認められなかったが,「友人」「ルール・マナー」「公正さ・配慮」は「不安感因子」と有意な負の相関がみられ,部活動を通した活動によって生徒指導への有用性が示唆された。 研究成果は,三重県教育委員会研修会,日本スポーツ教育学会の論文掲載で発信した.また,「体育科教育」(大修館)への掲載,日本応用心理学会と日本体育学会の研究発表を通じて発信した.さらに,琉球大学教育学部の教職科目(部活動教育の理論と実践)で,研究成果の内容を用いて講義を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
部活動学習到達度尺度の標準化に向けた実証的研究を行い,横断的調査を通じて部活動の実施形態等が部活動学習到達度に与える影響を明らかにし,尺度を標準化することができた.また,本尺度と他尺度を合わせて実施し,併存的妥当性を検討しながら,生徒理解の有用的な資料として用いることができる可能性を得ることができた.さらに,教育委員会の協力を得て,本尺度を用いた縦断的調査を実施し,多数の顧問教師の実践データを基に,部活動による教育効果を検討することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
部活動学習到達度尺度を基にして,部活動の学習指導内容・指導者育成カリキュラムを策定するよう理論サーベイと文献調査を行うとともに,三重県教育委員会と共同で顧問教師を対象にした研修会を実施し検討を進める.また,東京,大阪,群馬,沖縄において現職教員を対象とした研修を実施し,指導者を対象とした自由記述アンケート調査と生徒を対象とした本尺度の調査によって研修の効果を検証する.それらの結果について研究会(代表者,分担者,協力者)を開催し具体的成案を作成する.
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Research Products
(4 results)