2015 Fiscal Year Research-status Report
低電圧印加によるタンパク質凝集・結晶化促進の分析技術開発と促進機構の解明
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26390049
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
若松 孝 茨城工業高等専門学校, 電気電子システム工学科, 教授 (80220838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 薫 茨城工業高等専門学校, 自然科学科, 准教授 (50415775)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | タンパク質 / 凝集体 / 結晶化 / 光散乱 / 電場刺激 / フラクタル / 微粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質の凝集体に対して高感度である、低角度(散乱角8度以下)の前方散乱光を瞬時に計測できる装置を開発した。開発の分析装置(プロトタイプ)は、タンパク質結晶化溶液の前方散乱光を数十ミリ秒で測定でき、タンパク質凝集体の形成過程を分析できる能力を有する。当発明の国内特許出願を行った。さらに、タンパク質溶液に数ボルトの電圧を印加しながら、低角度の前方散乱光を瞬時に測定できるように、開発の分析装置を一部改良した。 結晶化モデルの代表的なリゾチームタンパク質(ニワトリ卵白由来)を対象にして、開発の分析装置を用いて、数ボルトの低電圧印加による電場印加状態下で、低角度の静的光散乱(SLS)を瞬時に計測し、結晶化前段階におけるリゾチーム凝集体(クラスター)の形成について調べた。また、比較のために、電場印加無しの状態下の溶液についてもSLS分析を行った。 電場印加無しの状態では、リゾチームの凝集体形成が進行しない溶液条件に対して、電場印加下で凝集体形成が促進される様子を初めて捉えることに成功した。リゾチーム溶液への電場印加が、結晶化前段階のフラクタル凝集体の形成を促進させる効果があることが判明した。 また、リゾチーム以外のタンパク質についても、結晶化条件(電場印加無し)を調査し、電場印加による効果についても調査した。その結果、リゾチーム以外のタンパク質に対しても、溶液条件(濃度等)や電場印加条件(印加電圧)と結晶化促進との関連性が未だ不明確ではあるが、電場印加には結晶化の促進効果が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開発した分析装置によって、今年度の実施計画で主要な目標であった、リゾチームの結晶化前段階における凝集体形成の様子を捉えることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
異動で研究場所を変更したため、まずタンパク質凝集・結晶化分析装置の立ち上げを行う。装置の構築で必要な物品を購入する。そのため、当初配分の旅費の一部を変更して、物品購入に充てる。 上記と並行して前年度の研究事項を継続して行う。具体的には、(1)タンパク質試料溶液の調合・作製:リゾチームとそれ以外のモデルタンパク質を対象に、結晶化溶液を作製する。主にタンパク質濃度や添加塩濃度等の調合条件を変え、タンパク質結晶化溶液を作製する。低電圧の電場印加による結晶化促進効果についても調査する。 (2)タンパク質凝集・結晶化の分析:タンパク質結晶化溶液のF-SLS瞬時測定を行い、凝集・結晶化促進過程をモニタリングする。凝集体の構造(フラクタル次元)とその経時変化を評価・分析し、シリカ微粒子の実験結果と比較して、電場印加がタンパク質凝集体の形成に与える効果を詳しく調査する。また、タンパク質溶液に添加する塩の結晶化作用に関しても、開発の分析装置で調査する。 得られた実験結果及び分析結果を整理し、関連学会で成果発表して、さらに国際的なジャーナルに投稿する。
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Causes of Carryover |
多種類の物品費(消耗品)を少数・少量で購入したため、購入予定額と実施額に差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費(消耗品費)で使用する。
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