2014 Fiscal Year Research-status Report
ナノメッシュ構造を利用した合金ナノ粒子の創製と耐熱性評価
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26390065
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柚原 淳司 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10273294)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 合金ナノ粒子 / ナノメッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、合金ナノ粒子創製のための超高真空対応型試料準備チェンバーを設計製作し、性能確認を行った。4種類の金属蒸着源を試料準備チェンバーに取り付けることが可能となり、本研究課題の遂行に向けて大きく前進した。 次に、Pd(111)表面上の酸化バナジウムナノメッシュを再現性良く作製する実験条件を明らかにした。また、ナノ粒子作製に向けて白金、ルテニウム、パラジウムの蒸着条件を明らかにした。白金ナノ粒子が想定通り作製されることを確認し、現在、ルテニウム、パラジウムについてもナノ粒子が形成されるかどうかについて実験を行っている。実験はおおむね順調であり、今後は成果発表も随時行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題を効率よく遂行するために、当初計画にはなかった合金ナノ粒子創製のための超高真空対応型試料準備チェンバーを設計製作し、必要十分な性能を有していることを確認した。また、次に、Pd(111)表面上の酸化バナジウムナノメッシュを再現性良く作製する実験条件を明らかにし、また、ナノ粒子作製に向けて白金、ルテニウム、パラジウムの蒸着条件を明らかにした。一方で、ルテニウム、パラジウムについてもナノ粒子が形成されるかどうかがまだ判明しておらず、トータルでは概ね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
<合金ナノ粒子の創製> 今年度は、ルテニウム、白金あるいはパラジウムを複数種蒸着することにより、合金ナノ粒子を創製し、その組成や構造を明らかにする。ここで、蒸着する金属の順番や蒸着する金属原子の量、さらには蒸着時のナノメッシュ基板の温度について、様々な条件で作製する。 <合金ナノ粒子の構造評価> LEED法によりナノメッシュの結晶周期性が維持されているかを確認し、STM法により蒸着した2種類の金属の空間分布や合金ナノ粒子の形成の有無を明らかにする。さらに、XPS法により蒸着した金属の化学結合状態を調べることにより、合金ナノ粒子の化学結合状態に関する知見得る。一様な合金ナノ粒子が作製されたことが確認された後、蒸着した元素の原子数密度と合金ナノ粒子の種類とその個数から、ナノ粒子当たりの構成原子数や組成比を評価する。 <計算機シミュレーション> 合金ナノ粒子の構造モデルは、上述の第一原理計算により決定するが、さらに、得られた構造モデルのSTMシミュレーション像と実験から得られるSTM像の比較から、構造モデルの妥当性を評価する。合金ナノ粒子の電子状態(バンド構造)の評価は、第一原理計算により行う。 <耐熱性の評価> 作製した合金ナノ粒子およびナノメッシュの熱的安定性を明らかにするために、800℃以下の様々な温度で試料を加熱し、合金ナノ粒子およびナノメッシュの熱的安定性を上述したSTM-LEED-XPS法による複合分析により明らかにする。 予算の都合上、ワークステーションの購入は断念することとなったが、既存のワークステーションのマシンタイムを本研究課題に優先的に割り当てることにより、当初の計画課題を遂行する予定である。
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