2014 Fiscal Year Research-status Report
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26400061
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
西納 武男 立教大学, 理学部, 准教授 (50420394)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リーマン面 / 代数多様体 / 変形理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はリーマン面の研究を軸として, 代数幾何, 微分幾何や組み合わせ論的な観点を交えることにより新しい研究手法を開発することを目的とする。平成26年度の研究に於いては, 以前の研究で得られていた代数多様体上の代数曲線の変形を詳しく調べる手法に組み合わせ論的な手法をあわせることで, K3曲面と呼ばれる重要な代数曲面上の有理曲線の存在についての新しい結果を得た。また, アーベル曲面上の代数曲線について, トロピカル曲線と呼ばれる組み合わせ論的な対象との対応を用いた手法を用いることにより, 平面上の周期的グラフを用いた理解を可能にした。その過程で, 周期的とは限らない一般次元空間内のグラフと高次元代数多様体上が退化した多様体上の代数曲線との関係についての新しい知見を得た。特に, グラフが通常期待されるよりも多くの変形を持つ場合が問題となるが, そのような場合についてこれまで知られていなかった現象を発見し, 今後の研究に対する指針を得られた。更に, 代数曲線がカスプを持つようなものに退化する場合にグラフの側でどういう現象が起こるかはこれまで平面上の場合しか分かっていなかったが, 一般次元の場合に起こる現象を発見でき, もう一つの研究の方向を得た。この現象は従来のトロピカル幾何学では考えられてこなかったグラフを扱う必要があり, そのために新しい変形理論が必要となるが, それがどのようなものであるべきか具体例の計算を通じて検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では従来の代数幾何および微分幾何的な手法に加えてリーマン面とグラフの関係と言った組み合わせ論的な手法を持ち込むことにより新しい研究方法を開発することを目的とするが, 代数曲面上の有理曲線の存在に関する長年の未解決問題に関する結果など, 当初見込んでいた以上の成果を挙げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に得られた結果には更に拡大の余地があり, その解決を優先的に研究したい。またそこで用いられた手法は他の幅広い問題に対しても適用可能であるので, 今後多くの応用を考えて行きたい。また, トロピカル幾何学に関してもいくつかの新しい現象を発見したのでそれらについて深く研究する理論を作って行きたい。
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Causes of Carryover |
当初計画よりも旅費の出費が多くなったため, 予定していた物品の購入を取りやめた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度請求分の助成金とあわせて, 平成26年度に購入しなかった物品の購入に充てる予定である。
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