2018 Fiscal Year Annual Research Report
Algorithms for D-modules and their applications
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26400123
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
大阿久 俊則 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (60152039)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | D加群 / ホロノミック系 / ファインマン積分 / b関数 / アルゴリズム / グレブナー基底 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 素粒子の相互作用を記述するファインマン積分の満たすホロノミック系についての研究を行った。ファインマン図式の各頂点に外線が触れていて、各内線に対応する粒子の質量が正であるという条件のもとで、ファインマン振幅(ファイマン積分からデルタ関数成分を除いた関数)は、マイクロ関数として、被積分関数から決まる局所コホモロジー類の積分として定まるホロノミック系の解となることを示した。そして三角形図式の場合に数式処理システム Risa/Asir を用いて実際のホロノミック系を求め、さらに野呂正行による素イデアル分解プログラムを用いてその特性多様体の既約分解を求めることに成功した。この結果についてはドイツのマインツ大学理論物理学研究所で開催されたファインマン積分に関するワークショップで発表し、物理学者と数学者の両方からなる参加者と議論を行い、今後の研究について有用な示唆を得た。 2. ホロノミック系の切断(ホロノミック系の形式的な解)と解析関数の連接イデアルの層が与えられると、それに付随してb関数(ベルンステイン佐藤多項式)が定義され、それは連接イデアルの局所生成系の選び方によらずに定まることが、Budur-Mustata-Saito による議論を用いて証明できることに着目し、代数的(多項式係数)な場合に対応するb関数の計算アルゴリズムを与えた。特別な場合として、与えられた代数的D加群 M の切断 u と代数的集合 V に対して、V の正則点において u の V に沿ってのb関数(決定多項式)を計算するアルゴリズムを与えた。決定多項式に関しては、従来は V が線型集合の場合のみ具体的な計算法が知られていたが、これによって適用範囲が著しく拡張された。
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