2014 Fiscal Year Research-status Report
無限次元空間上の確率解析と関連する微分作用素の研究
Project/Area Number |
26400134
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
河備 浩司 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80432904)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 確率解析 / 一意性定理 / 確率偏微分方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も引き続きS. Albeverio, M. Roeckner両氏と(cut-offが入った)exp(\phi)_{2}量子場を不変測度にもつ確率力学系の研究をDirichlet形式の視点から行った。現段階では生成作用素の本質的自己共役性についての結果が得られており、10月にドイツのOberwolfach研究所で行われたDirichlet形式の研究集会で招待講演を行った。
また結晶格子上の非対称ランダムウォークの長時間漸近挙動についての研究を、石渡 聡、小谷 元子両氏と幾何学的視点から行い、2種類の汎関数中心極限定理、局所中心極限定理の精密化としての推移確率の漸近展開が得られた。秋以降、この成果に関する講演を国内外の研究集会・セミナーで行った。
これらの成果をまとめた論文は現在作成中であり、次年度に完成させる予定である。さらに岡山周辺の研究者を対象とした「岡山解析・確率論セミナー」を通して確率解析に関する研究交流や情報交換を行ったが、本研究費の一部を講演者の旅費にあてた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
exp(\phi)_{2}量子場に関する確率力学系についての研究であるが、当初は生成作用素の一意性に関した結果だけをまとめて論文にする予定であったが、共同研究者との議論を通して、Dirichlet形式に対応する拡散過程と確率偏微分方程式の解との関係、生成作用素を無限次元Schroedinger作用素にユニタリ変換させることを通して解析的にDirichlet形式の既約性が分かって来た。これらの成果を論文に取り込むのに少し時間がかかっている。
また結晶格子上の非対称ランダムウォークの研究に関する論文の完成を優先させたのも理由の一つとなりうる。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在の所、Dirichlet形式に対応する拡散過程が確率偏微分方程式の弱解で特徴付けられることは分かっている。その一方で近年のDa Prato-Debusscheの研究によりBesov空間の枠組みで強解をもつことがmultiplicative inequalityを利用することで示されている。まずは我々の今までの結果の状態空間をSobolev空間からBesov空間に精密化し、最終的にはDirichlet形式に対応する拡散過程が確率偏微分方程式の強解になっていることを示し、論文に組み入れる。そのためには共同研究者との研究打ち合わせをさらに重ねるための出張旅費が必要である。さらに「岡山解析・確率論セミナー」に実解析の研究者にも講演に来て頂き、議論をすることも必要となるであろう。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた研究集会・セミナーへの出張旅費が、他の研究者の科研費からサポートされたことにより生じたものである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究打ち合わせのための外国出張、成果発表のための研究集会への参加および「岡山解析・確率論セミナー」での講演者の旅費に必要な経費として、平成27年度請求額とあわせて使用する予定である。
|