2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26400152
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小川 重義 立命館大学, 理工学部, 非常勤講師 (80101137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 英明 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30203483)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非因果的確率解析 / 非因果的積分 / フレドホルム型確率積分方程式 / 確率偏微分方程式 / 非線形熱方程式 / 確率フーリエ変換 / 確率フーリエ係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、主に次の二つの課題について研究を実施してきた: 1.1階確率偏微分方程式(すなわち、ブラウン粒子方程式、以下BPEと略記する)に対する初期値問題の解の構造の解明と数理科学に現れる関数方程式の諸問題への応用、このほかファイナス理論等応用確率解析でも重要な役割を果たしているギルサノフ定理の非因果的拡張結果を確立すること、 2.確率フーリエ変換の基本的性質の解明(特に、逆変換可能性)および、確率フーリエ係数が含む情報量に関する研究。それぞれについて次の結果を得た:
1.ブラウン粒子方程式初期値問題の古典解について、その存在と一意性、特に特性線の方法による解の構成など基本的結果を確立した後、更に平均解(確率解の平均値)が放物型方程式の解になることを明らかにした。これらの基本的結果に基づく応用として、(1) 非線形放物型方程式の解をBPEによって構成する方法を明らかにした。また、(2) 非因果型 Girsanov の定理を確立し、これら(1)、(2)の結果をまとめた論文は欧文誌(Sankhya A, 2016)に掲載された。 2.確率フーリエ変換関係の研究では、対象を natural SFT と呼ばれるSFTに絞り、SFCが伊藤積分や非因果的積分(いわゆる、ogawa integral)で与えられる場合について、逆変換公式を確立し、結果は国内外の研究集会で発表するとともに、論文を作成し現在欧文誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
課題1については、BPE(の初期値問題)は典型的な非因果的問題として著名であるが、「古典解」に対象を絞った結果、上記の諸結果を得るに至り、またその応用として、数理科学で重要な役割を果たす ``Girsanov's Theorem'' の非因果型拡張定理を確立できたこと。 課題2については、SFTの逆変換問題を非因果的関数に対する結果にまで拡張して、逆変換公式を確立しえたこと。当初の研究計画では、これらの課題1,2の解決は平成28年度にかかるものとしていた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の課題1,2について研究を進める。 課題1(BPE 関連問題)については、BPE 理論を多次元空間変数の場合への拡張を進めることの他に、例えば Kolmogorov-Petrovskii-Piscounov方程式や多孔質媒体の浸透問題など、数理物理学に現れる非線形放物型方程式の解のBPEによる構成の可能性を調べること。 課題2については、非因果的積分(ie.ogawa integral)で定義される Natural SFTの性質を調べること。そもそもSFTはフレドホルム型確率積分方程式の研究(S.Ogawa,1989)で導入されたものであった。本研究の結果を得て、こうした非因果的確率積分方程式の研究を見直すこと。
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