2014 Fiscal Year Research-status Report
高精度重力異常データを活用した『重力逆断層アトラス』の作成
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26400450
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
平松 良浩 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (80283092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 真介 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (50626182)
田中 俊行 公益財団法人地震予知総合研究振興会, 東濃地震科学研究所, 主任研究員 (60462941)
本多 亮 公益財団法人地震予知総合研究振興会, 東濃地震科学研究所, 副主任研究員 (70399814)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 活断層 / 重力異常 / 長町―利府断層帯 / 庄内平野東縁断層帯 / 新潟平野東縁断層帯 / 密度構造 / 高精度重力異常データセット |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1)東日本の3つの主要逆断層系において地下の断層構造を解明するための重力測定と(2)全国規模の高精度重力異常データセットの構築を行った。以下にその概要を記す。 本年度に重力測定の対象とした断層帯は、長町―利府断層帯、庄内平野東縁断層帯、新潟平野東縁断層帯である。長町―利府断層帯では2014年7月5~10日に2本の測線と断層帯周辺で延べ127点、庄内平野東縁断層帯では2014年8月4~12日に2本の測線と断層帯周辺で延べ155点、新潟平野東縁断層帯では2014年9月1~9日に4本の測線と断層帯周辺で延べ197点の重力測定を実施した。 これらの重力測定データと既存重力データを用いたブーゲー異常図とその水平一次微分、鉛直一次微分から、それぞれの断層帯の重力異常の急変部と地表断層トレースとの対応関係を調べた。また、測線下の2次元密度構造の予備的解析を行った。2015年3月3~7日にかけて、上記の断層帯周辺で追加重力測定を実施し、延べ69点のデータを得た。 全国規模の高精度重力異常データセットの構築のために、金沢大学の重力測定データや他機関により公開されている日本およびその周辺の海域をも含めた重力測定データのコンパイルを行った。従来は50 m グリッド地形データで行われていた地形補正を10 m グリッド地形データを用いて行う処理システムを開発し、地形補正の高精度化による全国規模の重力異常データーセットの高精度化を行った。 上記の結果に関連して、American Geophysical Unionや日本測地学会、日本地震学会、日本活断層学会等において国際会議3件、国内会議6件の発表を行った。また、邦文誌に1本の学術論文と解説記事を発表した。2015年2月18~20日には、金沢大学にて本年度の解析結果および次年度の研究計画を検討するワークショップを開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本の3つの主要断層帯、長町―利府断層帯、庄内平野東縁断層帯、新潟平野東縁断層帯における稠密な重力測定と高精度地形グリッドデータを用いた地形補正により、従来よりも高精度かつ断層帯周辺での空間分解能が高いブーゲー異常分布を得た。そのフィルター処理や水平一次微分、鉛直一次微分により地下の密度構造に対応した重力異常変化が地表での活断層トレースと良い対応を示し、活断層の連続性に関して有用な指標になりうることを確認した。精密な地形補正を用いた全国規模の統合重力異常データセットの作成も順調に進んでいる。これらの成果について国内外の学会ならびに学術誌上にて発表を行った。 上記のことから現在までの達成度は概ね順調であると判断した
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は、前半に石狩低地東縁断層帯と伊那谷断層帯において、既往研究によって地震波速度構造が得られている測線上および断層帯周辺での重力測定を行い、既往データとのコンパイルと高精度地形補正により、空間分解能の高い精密な重力異常分布を得る。前年度に測定を実施した長町―利府断層帯、庄内平野東縁断層帯、新潟平野東縁断層帯と27年度の2断層帯について、(1)地形・地質プロファイル、地震波速度構造、重力異常データの対比、(2) 重力異常(ブーゲー異常)データによる密度構造解析、(3) 活構造の断層形状・運動様式・セグメント区分の解明、を行い、これらの情報に基づいた活構造評価法の開発を進める。 前年度の3断層帯の解析結果と今年度の2断層帯の解析結果についてとりまとめ、国内学会および国際学会において随時発表を行うとともに学術論文としてとりまとめを行う。解析結果について検討するワークショップを開催する。 また、前年度に作成した高精度重力異常データセットについて論文にとりまとめ学術誌への投稿を行うとともに、ホームページを用いたデータセット公開の準備にとりかかる。
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Causes of Carryover |
旅費に端数が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費として使用することを予定している。
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Research Products
(11 results)