2014 Fiscal Year Research-status Report
血管へのダメージの少ないバルーン拡張ステントの最適構造設計
Project/Area Number |
26420001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 克彦 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90215715)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バルーン拡張ステント / 変形特性 / 塑性変形 / 粘塑性変形 / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は「ステント材料のマイクロ強度特性および表面性状変化の解明」および「ステント材料の変形構成モデルの構築」および「脈動のステント径および血管内壁界面への影響の解明」についての検討を主に行った。以下にその概要を示す。 1.ステント材料のマイクロ強度特性および表面性状変化の解明:先行して行っていたSUS316材の試験片による塑性変形と試験片上面性状との相関関係を精査し、ステント変形時の表面性状の予測方法について検討した。すなわち、有限要素法によるステント解析と実験により得られた表面性状とステント変形により発生するひずみとを関連づけることにより、ステントの表面性状変化を予測可能であることを見出した。 2.ステント材料の変形構成モデルの構築:SUS316材の変形の特徴として、常温においてもクリープ変形、応力緩和などの粘祖塑性変形を生ずる。これは、経年変化の原因となることから、粘塑性変形を考慮したシミュレーション手法の導入を検討した。解析に用いた有限要素解析ソフト(ANSYS)内にデフォルトで組み込まれている粘塑性変形に関する構成式を用いて解析した結果、ステント留置後にステント径が時間とともに減少する様子が再現できた。また、デフォルトの構成式はその精度に問題があることから、独自開発の構成モデルを有限要素法に組み込むことも検討した。 3.ステント拡張および血管壁の変形解析:ステント拡張解析を行い、ステント拡張が血管壁に与える影響について検討した。すなわち、血管、プラーク、ステント、バルーンのすべてを考慮した有限要素モデルを用いて解析を行い、拡張後のステント内部の応力、ひずみの状態を明らかにするとともに、血管およびプラークの応力状態について明確にした。また、平成27年度実施予定の脈動流を考慮した解析手法についての検討も同時に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
・ステントの変形と表面性状の関連性を得るためのステント拡張実験を行い、ステントの拡張量を有限要素解析との結果比較した結果、概ね良好な結果を得た。これは、ステント表面性状とひずみ量との関連性から、表面性状を予測が可能であることを示しており、今後、表面性状測定精度と構成式の改良により、高精度の表面性性状予測が可能であるとの指針を得たこと。 ・血管、プラーク、ステント、バルーンのすべてを考慮した有限要素モデルを構築し、有限要素解析で困難な解析の一つである、血管(プラーク)-ステント間、ステント-バルーン間の接触解析を行い、ステント拡張による血管(プラーク)に生ずる変形、応力を導出できたこと。 ・平成27年度実施予定の、脈動流に関するシミュレーションについて、流体と構造変形の連成解析にかかわる基礎的な解析手法を構築し実施できたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で、本研究課題に対して大きな障害となる問題は発生していない。このことから、当初予定通り研究を遂行する。
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