2015 Fiscal Year Research-status Report
サブミクロン薄膜はく離強度評価システムの構築とナノワイヤによるはく離強度の向上
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26420016
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 昌彦 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70274115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅田 淳 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60162913)
曙 紘之 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50447215)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノワイヤ / プラズマプロセス / はく離強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
膜厚が数ミクロンの硬質薄膜は多方面に使用されているが,はく離が問題となる.はく離強度改善法として,新たに発見したナノワイヤを用いて,従来技術(中間層)を凌駕する密着力を得ることを目的として実験を行った. ナノワイヤは金属材料基板から直接成長させるので基板と強く密着している.これにコーティングすれば,物理的な投錨効果により密着力が向上する.従来の中間層では,薄膜と基材の組合せが異なると適切な中間層の探索に膨大な時間が必要となるが,材料の組み合わせによらず高い密着力が期待でき,幅広い応用が期待できる. 計画に従い,ステンレス円環試験片表面にナノワイヤを形成させるための実験を実施した.実験の結果,従来の手法では十分なワイヤが形成されないことがわかった.これは,ステンレスにはナノワイヤを形成するのに十分な炭素を含有しないことによることがわかった.これを解決するため,固体浸炭プロセスを追加した.プロセスの最適化のため,浸炭条件を種々に変更しながら試験を実施し,試験片の浸炭量を電子線プローブマイクロアナライザで計測した.これら実験より浸炭条件と浸炭量の関係を明確にした.その後,浸炭試験片にナノワイヤ形成試験を実施したところ,ワイヤ形成量が増加することが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りのナノワイヤが形成されなかったので,予定にはない実験を実施したが,解決することが可能であることが明らかになったので,当初の目的をほぼ達成可能な実験を実施できると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定に従い,ナノワイヤを形成した試験片のはく離強度評価をすすめる.
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Causes of Carryover |
本年度予定していたスパッタコーティング回数が,当初予定より少なかったため,ターゲット,ガス購入費用が予定より少なかった.一方,当初予定になかったガス浸炭の実験のための費用があった. これを差し引きし,多少の残額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額分のターゲット・ガス購入は28年度に実施する.
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