2015 Fiscal Year Research-status Report
摩擦界面における軟質金属層の物性と摩擦・摩耗特性に関する研究
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26420093
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
後藤 実 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (00435455)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トライボロジー / 薄膜 / 銀 / 銅 / 複合ターゲット / スパッタ / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
CVDとPVDの複合プロセスによって製膜した銀/ダイヤモンドライクカーボンナノコンポジット膜(以下、Ag-DLC(CVD))および銅/ダイヤモンドライクカーボンナノコンポジット膜(以下、Cu-DLC(CVD))のトライボフィルム生成プロセスを明らかにした。 3元RFマグネトロンスパッタ装置を使用し、炭素ベースターゲット上中央に銀または銅の円形タブレットを配置した同心円複合ターゲットのタブレット直径を変化させることで、エネルギー分散分光法によって求めた銀の含有率が19at.%まで減少させた銀/ダイヤモンドライクカーボンナノコンポジット膜(以下、Ag-DLC(RF))および銅の含有率を7at.%まで減少させた銅/ダイヤモンドライクカーボンナノコンポジット膜(以下、Cu-DLC(RF))をSi(100)基板上に成膜する方法を確立した。 円形のベースターゲット上に複数の扇形の添加元素ターゲットを放射状に配置する従来の複合ターゲットと比較して、炭素ベースターゲット上のスパッタ率が高い高プラズマ密度領域にスパッタ収率の極めて高い銀または銅を配置する同心円複合ターゲットは、スパッタ収率の大きく異なる同一の表面積比の二元複合ターゲットを用いた場合のDLC中の金属含有量を最大70%程度減少させることを確認した。炭素ベースターゲット径が50 mmの場合、金属タブレット径が10 mm以下のときの表面積比に対する金属含有量の変化が小さいことを確認した。ナノインデンテーションによる硬さ測定の結果、金属含有量の増加と共に膜の硬さは低下するが、同一の金属含有量においてCu-DLC(RF)の方がAg-DLC(RF)よりも硬い膜になることを確認した。 摩擦試験の結果、金属含有量が少ないCu-DLC(RF)およびAg-DLC(RF)はしゅう動相手材摩擦面にメタルリッチなトライボフィルムを形成にくいことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CVDとPVDの複合プロセスによって製膜したAg-DLC(CVD)とCu-DLC(CVD)のトライボフィルム生成プロセスを明らかにし、投稿論文として報告した。 また、同心円複合ターゲットによるAg-DLC(RF)とCu-DLC(RF)の金属含有量を昨年度より大幅に減少させ、膜の硬さを向上させる方法を確立したから。
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Strategy for Future Research Activity |
炭素ベースターゲット上に銀または銅の円形タブレットを配置した同心円複合ターゲットを用いたRFマグネトロンスパッタ法によるAg-DLC(RF)およびCu-DLC(RF)の成膜について、主として成膜時のAr圧力と炭素ベースターゲットの構造がDLCマトリクスの硬さと構造に及ぼす影響を明らかにする。さらに、そのトライボロジー特性については、摩擦界面に生成するトライボフィルムの組成と構造に着目し、各種摩擦条件との関係を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
試料の分析・測定費用に僅かの差が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試料の分析・測定費用に充当する。
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Research Products
(4 results)