2014 Fiscal Year Research-status Report
光アクセスにおけるコンスタレーション共有方式に関する研究
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26420377
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
奥村 康行 南山大学, 理工学部, 教授 (90434604)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光アクセス網 / ディジタルソフトウェアPON / コンスタレーション共有 / signal shaping |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,光アクセスネットワークの大容量化を実現するため,QAMとOOK信号を共存させる伝送方式の誤り率を改善する方法の提案とその特性に関するものである。ディジタルソフトウェアPON(passive optical network) を用いて,OOK 信号とPSK 信号またはQAM信号を共存させる時,OOK 信号がOFF 状態では共存させたPSK 信号やQAM 信号のBER が増大してしまうという問題がある。そこで本研究では,7-4ハミング符号を適用したsignal shaping という技術を用いてOOK 信号がOFF 状態の確率を低減することにより,共存させたPSK 信号やQAM 信号のBER を改善する方法を提案した。とくに、signal shaping として基本的な効果を見るため、トレリスシェーピングと呼ばれる簡単なアルゴリズムを応用して、OFF状態を低減させることとした。 上記の提案方法に関するシミュレーションを行った。シミュレーションではMatlabを用い、簡易化のため、伝送路はフラットな特性を仮定した。シミュレーションの結果より,signal shaping で7-4 ハミング符号を用いた場合,共存させたPSK 信号やQAM 信号のBER は改善されSN比において2~4dBの余裕が増大するという結果が得られた。具体的には、OOK信号と共存させたQPSK信号のBER が10e-2 の時,Eb/N0 が約3.4dB 改善された.また、OOK信号を8PSK信号およびQAM信号と共存させた場合、それぞれ4.1dBおよび3.6dBの改善が見られた。ただし、誤り訂正符号を用いているため、伝送効率は70%~80%である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成26年度はコンスタレーション共有の基本技術ならびにトレリスシェーピングとの組み合わせについて研究し次年度以降の研究の基盤とすることとしていた.トレリスシェーピングの原理は、送信系列をシェーピングを施すビットsとそのまま送るビットuに分け、sをインバースシンドローム行列で符号化してs’を求める。次に、s’とuをもとに、ビタビアルゴリズムを用いてもっともすぐれた符号語zを探索し、複素信号点にマッピングするものである。 この計画に対し、当該年度ではトレリスシェーピングと呼ばれる簡単なアルゴリズムを応用して、OFF状態を低減させる基本方式を考案した。符号語zを探索するためのメトリックとして、ハミング重みをもちいることとした。これは、コンスタレーション上で符号を配置する場合、ハミング重みの大きな符号ほど原点からの距離を大きくしたためである。 また、この方式の基本特性を確認するため、Matlabを用いた簡易なシミュレーションを行った。伝送方式の条件として、OOK信号とQPSK信号、8PSK信号ならびにQAM信号を共存させることを想定した。シミュレーションの結果より,signal shaping で7-4 ハミング符号を用いた場合,共存させたPSK 信号やQAM 信号のBER は改善されSN比において2~4dBの余裕が増大するという結果が得られた。この結果、コンスタレーション共有を行う光アクセス網において、signal shapingはBERを改善するうえで非常に効果があることを明らかにすることができた。このため、この方式を継続して研究する意義があることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に明らかにした基本方式について、その特性を詳細に検討するため、シェーピングを実現するシミュレータは伝送符号の処理が容易なMatlabと呼ばれるソフトウェアを用いて構成し、光伝送路は業界で標準的に使われているOptSimと呼ばれるシミュレータを用いて構成する。これらのそれぞれについて基本動作を確認し、特に前者については前年度の結果と一致することを確認する。さらにMatlabとOptSimの連結方法を調査し、上記のそれぞれのシミュレータを連結するための準備作業を行う。最終的に、上記のそれぞれのシミュレータを連結し、全体としての動作確認を行ったうえで、シェーピングを適用した伝送特性の改善度を明らかにする。 さらに、畳み込み符号を用いる場合にシェーピングを実現するため、そのインバースシンドローム行列を求めて、これとビタビアルゴリズムを用いてもっともすぐれた符号語を探索する具体的な方法を考案する。ここで考案した方法をもとに、Matlabをもちいてシミュレータを実装し、その基本特性を明らかにする。さらに、前述のOptSimとシミュレータを連結し、全体としての動作確認を行ったうえで、シェーピングを適用した伝送特性の改善度を明らかにする。
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