2014 Fiscal Year Research-status Report
生物の成長過程観察を目的とした非侵襲可視光CTの開発
Project/Area Number |
26420386
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小関 道彦 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (50334503)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 画像計測 / プロジェクショントモグラフィ / 可視光 / 生体観察 / 非侵襲計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体に対して非侵襲な可視光プロジェクショントモグラフィを開発し、小動物の成長過程や運動の様子について継時的かつ三次元的に生体内部を観察可能なシステムを構築することを目的としている。平成26年度は可視光プロジェクショントモグラフィの撮影手法および再構成アルゴリズムの提案を行うことを目指して検討を行った。 平成26年度の検討では特に、光線追跡法に基づく数値シミュレーションに注力し、被写体内部で屈折する光路を外形状の情報に基づき推定する手法を導出した。本手法ではまず、投影データの輪郭像に基づき被写体の外形状を推定する。そして、被写体の外形状を模擬した数値ファントムを構築し、光路追跡シミュレーションによって被写体内部の屈折率を推定する。より複雑な被写体の場合には、被写体内部の構造を層として捉え、この作業を繰り返すことによって内部構造を徐々に明確にする。 円柱樹脂と金属棒からなる被写体に対して実験データと光路追跡シミュレーションを実施し、実験に用いた被写体の屈折率の推定を行ったところ、樹脂の屈折率が1.3~1.4であることが推定された。 最後に、屈折率の推定結果に基づいて被写体内部での光路を数学的に求め、これを補正する手法について検討を行った。この補正を行うことにより、可視光が被写体内部で屈折した結果として得られる投影データを、直進性の高いX線の投影データと同等な状態として扱うことができ、可視光プロジェクショントモグラフィの画像再構成が容易になることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、平成26年度は実験と数値解析を並行して行う予定としていたが、光路追跡シミュレーションシステムの構築に当初予定よりも多くの時間を要したため、「やや遅れている」と評価した。 当初計画では、平成26年度に光学実験機材を計上していたが、当年度は研究の初期段階として、現有する機材および計算機シミュレーションに基づく屈折率推定手法および投影データ補正手法の開発に注力した。 これまでの検討で開発した屈折率推定手法は、平成26年度に実施した実験でもその有効性を確認できたが、計測精度の不足からその定量評価には至っていない。平成27年度に光学実験システムを構築し、提案手法の定量評価に結び付けたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究において、光路追跡シミュレーションを用いた被写体内部の屈折率の推定手法を確立した。平成27年度には光学実験システムを構築し、実験データに基づいて提案アルゴリズムの性能検証を行う。具体的には、短波長レーザー光を光源として用いることにより屈折や反射などの光学パラメータを単純化し、提案手法に基づく外形上の抽出、屈折率の同定を行う。その際、光路追跡シミュレーションでは検討が難しい散乱現象についても補正方法を検討する予定である。なお、試験片の構造の複雑性を段階的に増すことによって課題を一つずつ解決する。また、高速度カメラを導入した短時間撮影も実現する予定である。
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Causes of Carryover |
研究資金を有効に活用するためには、価格性能比が研究課題に適したものを購入する必要があると考え、研究初年度となる平成26年度は数値解析に注力し、光学実験機材の購入を次年度に延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に実施した解析的検討により、当初の計画で考えていた光学実験機器の必要条件が明確になったので、メーカーと相談のうえ適切な機器を購入して光学実験システムを構築する予定である。
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