2014 Fiscal Year Research-status Report
交通調整機能に着目した都市高速道路対距離料金制の運用方法についての研究
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26420525
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
秋山 孝正 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (70159341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井ノ口 弘昭 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (10340655)
奥嶋 政嗣 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (20345797)
鈴木 崇児 中京大学, 経済学部, 教授 (70262748)
武藤 慎一 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (90313907)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 都市高速道路 / 対距離料金 / 次善料金問題 / 低炭素車両 / 乗継ぎ交通量 / 需要変動型利用者均衡 / 弾力的料金政策 / 車種別料金 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、都市高速道路の対距離料金制を前提とした有効な交通調整方法を検討した。特に都市高速道路料金設定を都市道路網の次善料金問題(second best pricing problem)として定式化した。平成26年度の研究実績は以下に整理できる。 1)都市高速道路料金の関連研究成果を整理した。都市高速道路の道路交通流解析技術として需要変動型交通量配分の適用を提案した。特に「ランプ間料金の設定」「OD需要関数設定」「乗り継ぎ交通量推計」を含む基本アルゴリズムを開発した。 2)リンク単位の「限界費用価格」による最適料金設定理論を整理した。一方で現行の都市高速道路料金を政策変数とする「次善料金問題」を構成した。さらに、交通経済学・交通工学の知識を利用した「定量的評価モデル」を構成し、数値計算によるモデル分析を可能とした。 3)都市道路網の対距離料金設定を利用者均衡制約下の最適化問題(MPEC問題)を定式化した。このとき現実規模の二段階問題の解法にメタヒューリスティクスの利用方法を検討した。 4)都市高速道路の対距離料金設定に関する評価指標を検討する。ここでは時間短縮便益に加えて、二酸化炭素排出量の算定方法を検討する。特に都市高速道路対距離料金の拡張として、HV車両・EV車両に対する車種別料金の有効性を示した。 5)都市道路網の対距離料金設定に関して需要変動型の利用者均衡状態を近似計算するNNモデルを作成した。すなわち料金パラメータ設定値から交通評価指標値を算定するモデルを提案した。簡便な非線形推計モデルにより最適化計算が飛躍的に効率化された。 6)都市高速道路料金の現実的運用を検討した。特に交通需要の時間的・空間的変化を考慮した「時間帯別料金」「路線別料金」、環境負荷に関する「車種別料金」「低炭素車両料金」を検討するとともに具体的な定式化とインパクト算定結果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は研究における基本事項を整理するとともに、需要変動型の利用者均衡配分法を応用した対距離料金設定に関する評価方法を定式化した。これらは、従来の研究成果を踏まえた方法論の整理が行われた。ここで、現実規模の二段階問題の解法にメタヒューリスティクスの利用方法の検討に関して、遺伝的アルゴリズム、蟻コロニールゴリズムなどの数理モデルの実証的な比較検討が十分に達成されていないことから、本研究の問題に最適な方法論の提案に至っていない。しかしながら、近似的最適化の可能性と適用性は検証されており、研究全体の遂行には大きな問題は発生しないものと考えられる。また、各種の対距離料金の形状に関して、小規模な仮想ネットワークを用いた理論的展開および現実規模の都市道路網に関する利用者均衡配分の適用の両面から弾力的料金設定の提案がなされている。この点から、本研究における初年度の研究内容に関して、研究申請時の研究内容はほぼ達成されたものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降の本研究の課題は、都市高速道路の対距離料金の交通調整機能に加えて、都市道路網の交通運用の視点から、動的な交通制御と料金政策の統合的技術の実証的検討である。このため以下のような推進方策を考えている。 1)都市高速道路では、動的な交通流管理として交通制御が実行される。そこで、料金設定による自律的交通調整と交通制御に基づく交通管理を時間的空間的に統合した交通運用方式を提案する。 2)都市高速道路の交通運用に関する検討のための方法論を開発する。すなわち都市道路網の交通状況を記述する交通量配分と交通シミュレーションの統合を考える。 3)道路利用者の意思決定過程のモデル化を行う。自動車車両の変化(EV・HV・ULV)、と利用行動分析のため、都市高速道路料金の弾力的運用方法に関する意識調査を実行する。道路利用者の調査では、WEB調査等の情報技術の有効活用を考える。 4)環境問題として、EV・HVの走行状態における環境状態を検討する。特に、CO2課金(車種別課金)を想定して「環境指標」の設定と経済的評価方法を検討する。 5)都市高速道路の対距離料金制の現実的適用方法として動的な交通制御と料金政策の統合的技術について(都市道路網における改善効果を海外で行われている都市道路網全体の課金として拡張する場合を検討する。)
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Causes of Carryover |
平成26年度においては、各研究分担者の個別研究の成果を体系的に整理して、都市交通政策の基本的な分析アルゴリズムを構成することを意図して研究を遂行した。このとき、本研究では研究分担者が、多地域で活動を行っており、頻繁な意見交換のために、当初予定していた研究打ち合わせに関する費用をすべて計上することがむつかしいことがわかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度においては、物品費に関して迅速な研究遂行を図り、H27年度申請額を超えて支出を行う。また旅費に関して、研究打合せ、学会参加の回数を当初計画より増加して、研究討議を進めるための支出を行う。また、謝金等では、研究作業を計画的に運用することで、H27年度申請額を超えた支出を行うことにしたい。
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Research Products
(4 results)