2015 Fiscal Year Research-status Report
傾斜型あと施工アンカーを用いて袖壁増設補強したRC柱の構造性能と設計法
Project/Area Number |
26420571
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
貞末 和史 広島工業大学, 工学部, 准教授 (20401573)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 耐震補強 / あと施工アンカー / 袖壁補強 |
Outline of Annual Research Achievements |
既存のコンクリート系構造建物に新たな構造要素を増設する耐震補強を行なう際、既存躯体と補強要素を剛強に接合するために「あと施工アンカー」を用いることが多い。あと施工アンカーは施工面に対して垂直に固着させることが一般的であるが、せん断力が卓越する接合部分に関しては、アンカー筋を45度傾斜させる(傾斜型)ことで、さらにせん断剛性とせん断強度が増大し、優れた変形特性を有する接合部設計も可能であると考えている。本研究では,鉄筋コンクリート造建物の袖壁増設耐震補強に着目し、既存柱と袖壁との接合に傾斜型あと施工アンカーを用いた接合工法を適用することで優れた補強効果が得られることを明らかにし,さらに、傾斜型あと施工アンカーを用いて袖壁補強した鉄筋コンクリート柱の終局耐力の評価式を構築すること、合理的な設計法を提案することを目的としている。 考案した耐震補強工法の有効性を示すには、構造実験による検証を行なうことが不可欠であるため、在来型および傾斜型それぞれのあと施工アンカーを用いて袖壁増設補強した鉄筋コンクリート柱の試験体を製作し、一定圧縮軸力下で正負繰り返しの逆対称モーメントを加力する静的載荷実験を行なった。実験結果としては、曲げ破壊先行型の既存柱とせん断破壊先行型の柱、いずれの破壊形式の柱に対しても、提案する工法を採用した場合の方が最大強度を増大できることを明らかにした。さらに、実験で得られたデータを基に袖壁補強された鉄筋コンクリート柱の抵抗機構を仮定し、終局耐力の評価式を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の1つは、在来型の袖壁増設耐震補強工法と比べて、考案した袖壁増設耐震補強工法の補強効果の有効性を検証することであった。そこで,在来型および傾斜型あと施工アンカーを用いた接合部の抵抗機構と力学挙動の違いが袖壁補強された柱の構造性能に与える影響を明らかにするために、最大耐力時には柱と袖壁の接合部が破壊を生じ、両者が分離する破壊形式となるように鉛直接合筋(柱と袖壁を接合するアンカー筋)の数量を少なく設定した試験体を計画した。実験を行なった結果、想定した通りの破壊形式を生じることが確認され、有効な補強効果が得られるアンカー筋の配置方法に関する基礎データを収集することができた。 本研究の2つ目の目的は、考案した耐震補強工法の終局耐力の評価式を構築することである。上述した実験によって、袖壁増設補強された鉄筋コンクリートの終局耐力は、既存柱の破壊形式と終局耐力に影響を受けること、柱と袖壁の鉛直接合部のせん断強度の影響を受けることが明らかとなった。そこで、本実験で観察された柱部分の破壊形式と鉛直接合部のせん断強度の違いを考慮できる抵抗機構を仮定し、これに基づく終局強度の評価式を構築した。また、構築した終局強度の評価式による計算値と実験値を比較した結果、実験値の下限を妥当に評価できることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度までに、傾斜型あと施工アンカーを用いて袖壁増設補強した鉄筋コンクリート柱の終局耐力を評価するための力学モデルを構築し、評価式を導出した。提案した評価式は実験結果の下限を妥当に評価できることが確認されているが、袖壁増設補強部における鉛直接合部は圧縮とせん断の複合応力下にあることがわかっているが、複合応力を受ける傾斜型あと施工アンカーのせん断強度の評価方法を確立できていないため、袖壁増設補強した鉄筋コンクリート柱の終局耐力の評価に関しても検討の余地が残されている。 平成28年度は、前年度までに実施済の複合応力を受ける傾斜型あと施工アンカーの実験結果を基に、非線形有限要素解析による検討を加え、複合応力を受ける傾斜型あと施工アンカーのせん断強度の評価方法を構築する。これを袖壁増設補強した鉄筋コンクリート柱の終局耐力の評価に適用することで、合理的に耐震補強設計が行なえることを示す。 次に、前年度までに得られた袖壁補強柱の実験データを基にして構築した有限要素解析モデルを用いて、構造性能に影響を与える要因を変数としたパラメトリック数値解析を行なう。実験を補完する変数を持つパラメトリック数値解析を行ない、実験および解析結果を基に傾斜型あと施工アンカーの有利な特性が得られる適用範囲を定量化して示す。最終的に、傾斜型あと施工アンカーを用いた場合には、耐力的にはあと施工アンカーの数量を減らすことが可能であり、さらに、接合部破壊を生じても優れた変形特性が得られることを静的載荷実験を行なって実証する。
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Research Products
(1 results)