2014 Fiscal Year Research-status Report
保水性舗装の熱・水分輸送過程を含む非定常温熱環境モデル開発
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26420581
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 明 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20215445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋寺 光 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20647367)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 保水性舗装 / 水分含水率 / 水分輸送 / CFD / 熱輸送 / 地表面温度 / マトリックポテンシャル / 蒸発効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、保水性舗装の熱・水分輸送過程モデルの開発を目指して、保水性舗装、アスファルト、2種類のレンガについて、水分含水率とマトリックポテンシャルの関係に関する実験を実施し、van. Genuchten のモデルの実験定数を決定し、Mualem モデルに適応して含水率と透水係数の関係式を求めた。また、表面以外の側面と底面を断熱した上記の4つの素材を温度と湿度と光量を一定に管理できるグロースチャンバー内に設置し、時間経過による保水性舗装材の重量変化と表面温度を測定し、蒸発効率と水分含水率の関係式を決定した。そして、この関係式を組み込んだ熱・水分輸送過程モデルを開発した。保水性舗装とアスファルトの2つの素材について、2日間の屋外実験を実施し、大気の気温、比湿、短波放射量、風速、素材の重量変化、表面温度を熱電対と放射カメラで実測した。モデルに大気の外部条件を与えて、モデルで表面温度と蒸発量を計算し、実測と比較することでモデル検証を実施し、概ね妥当な結果を得ることができた。 また、気象モデルWRFで得られた風速、気温、比湿から側面境界条件を与え、大阪市中心街区を対象にCFD計算を実施した。ここでは、ビル側面が受ける日射量の日変動、形態係数による放射影響も考慮した。これは、吹田市で実施する計算の予備計算の位置づけである。 これらの成果は、7th Japanese-German Meeting on Urban Climatology, 28, Hannover, October 2014で発表し、2014年度大気環境学会近畿支部研究発表会で講演した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、保水性舗装の熱・水分輸送過程モデルの開発を目指して、保水性舗装、アスファルト、2種類のレンガについて、水分含水率とマトリックポテンシャルの関係に関する実験を実施し、van. Genuchten のモデルの実験定数を決定し、Mualem モデルに適応して含水率と透水係数の関係式を求めた。また、表面以外の側面と底面を断熱した上記の4つの素材を温度と湿度と光量を一定に管理できるグロースチャンバー内に設置し、時間経過による保水性舗装材の重量変化と表面温度を測定し、蒸発効率と水分含水率の関係式を決定した。そして、この関係式を組み込んだ熱・水分輸送過程モデルを開発した。保水性舗装とアスファルトの2つの素材について、2日間の屋外実験を実施し、大気の気温、比湿、短波放射量、風速、素材の重量変化、表面温度を熱電対と放射カメラで実測した。モデルに大気の外部条件を与えて、モデルで表面温度と蒸発量を計算し、実測と比較することでモデル検証を実施し、概ね妥当な結果を得ることができた。 また、気象モデルWRFで得られた風速、気温、比湿から側面境界条件を与え、大阪市中心街区を対象にCFD計算を実施した。ここでは、ビル側面が受ける日射量の日変動、形態係数による放射影響も考慮した。これは、吹田市で実施する計算の予備計算の位置づけである。 さらに、平成27年度から保水性舗装の実装実験が出来るように、大阪大学、吹田市、素材メーカで打ち合わせを行い、実装実験の予備実験を大阪大学保有のグロースチャンバーを用いて蒸発過程の素材内の水分変化および雨水時の素材内の水分変化の実験を実施することで同意した。ただし、当研究室が耐震補強工事で実験室の使用ができないため平成27年度からの実施となった。
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Strategy for Future Research Activity |
WRFによるマクロな気象条件(風速、気温、日射量)を境界条件に設定し、直達日射を建物面と地表面が直接受けるかの有無、再反射の日射量を受けるかの有無を考慮する実街区の温熱環境を非定常に予測するCFDモデル開発は完了した。また、保水性舗装の熱・水分輸送過程の1次元モデルもほぼ完成した。しかし、保水性舗装面ではない土壌面、植生面、水面などについての熱・水分輸送過程の1次元モデルを開発することが必要である。平成27年度は、CFDモデルに、土壌、アスファルト、保水性舗装の熱・水分輸送過程の1次元モデルを組み込み、吹田市のある街区を対象にモデル計算を実施し、吹田市の地表面温度の航空機観測データと比較し、モデルの妥当性の検証を実施する。 また、大阪大学保有のグロースチャンバー内の温度と湿度と照度を一定条件として、蒸発過程の素材内の水分変化および雨水時の素材内の温度・水分含水率変化の実験を通して、蒸発過程と浸透過程のヒストリシス過程を明らかにしそのモデル化を行う。さらに、吹田市の駐車場を対象に保水性舗装による表面温度変化実験を約1年間実施し、大気の風速、気温、比湿、日射量、降雨量、保水性舗装内の温度・水分含水率の測定を実施し、室内実験で得られた蒸発過程と浸透過程のヒストリシス過程の検証を実施する。最終的には、吹田市の駐車場を対象に保水性舗装による表面温度変化実験を、モデルにより再現計算を実施する。
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Causes of Carryover |
研究室の移転などにより、年度内に予定していた実験が実施できなかったため全額の使用ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度助成金と併せて、昨年度計画していた実験を行うことにより繰越残額を使用する。
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