2015 Fiscal Year Research-status Report
資源ゴミの洗浄に係わる環境負荷とその低減化に関する検討
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26420592
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Research Institution | DAIICHI UNIVERSITY OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
石渡 博 第一工業大学, 工学部, 教授 (50290739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 典礼 石川工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (00369969)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 資源ゴミ / 水使用負荷 / エネルギー消費量 / 排水負荷 / アンケート / 被験者実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
「容器包装に係わる分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(容器包装リサイクル法)が施行され、容器包装プラスチックなどが資源として回収されている。自治体のほとんどは、この資源ゴミの回収に当たっては洗浄するように指導しており、当該地域ではこの洗浄用の新たな水使用が発生し、排水負荷も増加している。そのため、従来のデータをもとに計画されている上下水道施設等については、処理能力が不足することが予想される。また、包装容器の汚れや油脂分の洗浄に湯が使用され、新たなエネルギー消費も発生している。一方では、洗浄の煩わしさを嫌って多くの貴重な資源が可燃ゴミとして廃棄されているなど、新たな社会問題が発生している。 これまで、資源ゴミに関するアンケートにより、資源ゴミ洗浄の実態を明らかにし、資源ゴミの洗浄に関する被験者実験等(冬期、夏期、つけ置き)を行って、新たな水使用負荷、エネルギー消費等について明らかにした。 平成27年度は昨年度におこなったつけ置き洗浄に関するアンケートから実態を明らかにし、また、つけ置き洗浄を想定した被験者実験結果の解析から水使用負荷、エネルギー消費量を明らかにして、空気調和・衛生工学会で発表した。また、実験では包装容器毎の内容物の残渣量も明らかにしており、これと洗浄水量から洗浄排水の水質を本年度も継続測定している。さらに年度末に、これまでのアンケートと被験者実験の結果を補完するアンケートと食品会社のヒヤリングを行った。 ・資源ゴミの洗浄に新たな環境負荷が生じることを知ったうえで、資源ゴミの「資源化がよい」(44.9%)が「燃料化がよい」(20.9%)が多かった。 ・洗浄する理由に、「臭気を防ぐため」が76.0%あった。39.4%の住宅にはゴミの保管場所がなく、回収の頻度と保管場所の有無が、一方では洗浄の定着を促進させ、他方では貴重な資源の廃棄につながっていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の当初計画「包装容器の消費者と生産者にアンケートを行い、消費者と生産者の双方からみた扱いやすく洗浄しやすい包装容器のあり方と扱い方を模索する」については、これまでの検討の結果、洗浄する理由に「臭気を防ぐため」が76.0%あり、39.4%の住に宅にはゴミの保管場所がなく、回収の頻度と保管場所の有無が、一方では洗浄の定着を促進させ、他方では貴重な資源の廃棄につながっていると考えられることから、「模索」は決して「(消費者の)扱いやすく洗浄しやすい包装容器のあり方」にあるのではなく、「扱い方(自治体の回収頻度や住宅内の衛生的な保管場所の確保)」にも検討の余地があるとことがわかった。 なお、洗浄の理由を消費者へ新たにおこなったアンケートと食品会社へのヒヤリングによって一応の回答を得てはいるが、この結果だけでは計画通りとは言えず先の検討と合わせて新たな検討の必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究計画には、「資源ゴミに対する人々の環境意識を高めることを目的に、シンポジウムや公開講座等を開催して前研究と本研究の成果を広く公開し、その評価(効果)をアンケートにより調査する。最後に、環境負荷の軽減策として洗浄しやすい、かつ有限な資源が廃棄されにくい低環境負荷の資源ゴミ(包装容器)について、そのあるべき姿とその扱い方を提案して、先の評価とともに研究成果としてまとめる」とあり、そのため、平成27年度にはこれまでの検討結果を補完するアンケートをおこなった(発表は平成28年度)。また、継続しておこなってきた排水水質等の測定も28年度始めには終了して、上記研究計画を目的にして、平成28年度から上下水道施設等の設計資料の整備作業に入る予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属と研究環境が変わり、平成27年度実施予定のアンケート調査の開始が平成27年度末に繰り延べになり、それらの解析作業関およびその連費が平成28年度分としたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度末におこなったアンケートの解析と平成28年度の研究計画で予定している学会発表の参加費用、投稿論文の費用、、展示会等での発表、講演活動費として使用する。
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Research Products
(2 results)