2014 Fiscal Year Research-status Report
人口減少社会における復興まちづくりのプロセスデザインに関する研究
Project/Area Number |
26420596
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
三宅 諭 岩手大学, 農学部, 准教授 (60308260)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 義浩 岩手大学, 学内共同利用施設等, 助教 (50571808)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 復興まちづくり / プロセスデザイン / 人口減少社会 / 日常生活 / 回復 / 仮設 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は岩手県小規模自治体の計画策定プロセスに関するヒアリング調査と、過去の災害復興プロセスの事例調査を行った。 復興まちづくり計画策定プロセスに関する調査として、T村の全首長へのヒアリング調査を行い、災害発生時から復興計画策定までの初動期、復旧期、復興期に至る組織マネジメントを明らかにした。具体的には、過去の歴史と防災意識が初動期に影響を与えており、それが柔軟かつ組織的な避難所生活に繋がっていることが明らかになった。また、適切な避難所の確保と村内コミュニティによる支援により行政が早期に復旧復興へ集中できたといえる。その結果、4年目には新規住宅地が早期完成に繋がったといえる。 災害復興プロセスの事例として、奥尻島と三宅島を対象に日常性回復に関するヒアリング調査を行った。三宅島では避難から帰島までの4年半における意識変化と意識差が現在に影響していることが分かった。帰島後の人口は大きく減少しておらず、教育環境に対する意識が帰島判断に影響していることが明らかになった。また、帰島後は災害、避難という苦境を共に経験したという共通体験がコミュニティ意識に影響し、日常生活の回復を早めたといえる。奥尻島では地区内での移転が大半であり、居住場所や景観が変化しても社会関係に大きな変化がなかったことが心理的安心に繋がっていたことがわかった。一方で、生活動線などは大きく変化しており、慣れるまでに時間はかかったことも明らかになった。以上より、コミュニティを再確認すること、心理的安心があることで時間変化に対応でき、日常性の回復につながることが明らかになった。 仮設期における仮設商店街については、店主および利用者にヒアリング調査を行い、地域の商業を担う商業者および住民の両者にとって仮設店舗は生活再建に重要な位置づけにあることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
復興事業との兼ね合いもあり、行政へのヒアリング調査および資料収集の調整に影響が生じている。 特に復興計画策定プロセスの検証については、行政から特定されることへの配慮を求められたこと、事業途中であることから慎重に対応する必要があることから、復興集中期間後に調査するよう計画変更した。その分、やや遅れていると判断する。 一方で、過去の災害復興の事例調査については節目の時期を迎えているため、調査を行う条件が揃っており、順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2016年度に行政へのヒアリング調査および資料収集を集中的に行うため、2015年度は、夏頃までに他の首長ヒアリングと事例調査を中心に行う。また、行政への資料収集、ヒアリング調査に影響しない外部支援団体への調査を今年度行うことにする。具体的には復旧期から現在までの支援体制、内容の変化、今後の地域との関係についてヒアリング調査および資料収集を行う。さらに、秋から冬の間に海外の復興まちづくりの事例調査を行う。
|
Causes of Carryover |
旅費と謝金の残額が多い結果となっているが、この理由として、予定していた海外調査を行わなかったことが大きい。その理由は、先方とのスケジュール調整および国内調査スケジュール調整の結果、十分な調査期間を取れないと判断したからである。海外調査を行わなかった分、テープ起こしや通訳に予定していた謝金を使うことがなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度は秋以降に海外調査を予定している。代表者は夏にイリノイ大学で米国研究者に面会する予定であり、そこでスケジュール調整を行い、秋から冬にニューオーリンズ等の米国災害復興の事例調査を行う予定である。
|