2015 Fiscal Year Research-status Report
人口減少社会における復興まちづくりのプロセスデザインに関する研究
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26420596
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
三宅 諭 岩手大学, 農学部, 准教授 (60308260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 義浩 岩手大学, 学内共同利用施設等, 助教 (50571808) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 復興まちづくり / プロセスデザイン / 人口減少社会 / 日常生活 / 回復 / 仮設 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)復興まちづくりの計画策定プロセス:漁業集落防災機能強化事業による復興計画を策定した地区について行政等にヒアリングを行い、漁業用地等算定方法および計画プロセスを明らかにした。また、Y町における震災後の人口減少を踏まえた将来人口予測を行い、従来予測より減少することを予測した。さらに今後の住宅再建予測と併せて住宅供給に生じる課題として物理的距離による遅れを明らかにした。 (2)日常生活の回復プロセス:雲仙普賢岳の火災噴火災害により長期避難生活を経験した島原市の事例について、行政担当者および当時の住民代表者にヒアリング調査を行い、長期避難生活における日常生活回復までの意識変化およびコミュニティの維持のポイントとして、避難所生活から仮設住宅生活、公営住宅生活、再建した自宅での新生活、その後の復興を感じるに至るプロセスにおける仕事と買い物行動が重要であることがわかった。また、沿岸での住宅再建についてアンケート調査を行ったところ、就労への支援が求められているなど、期待されている支援内容が変化していることが明らかになった。 (3)復興まちづくりプロセスにみる成果と課題:ニューオーリンズの復興プロセスと現在について、ヒアリング調査および現地調査を行い、地区における学校再建および教育システムの改善が住民の帰還および住宅再建に影響していることが明らかになった。また、住宅再建にかかる補助金の重要性だけでなく隣地の空き地を購入、合筆するなどにより未利用地の低減を図ること、また富裕層と低所得者層を混在させることで高級住宅化しないことなどが、新規居住者の増加に影響していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
復興事業との兼ね合いで、昨年度が復興集中期間の最終年度ということもあり、行政等と打合せをする中でヒアリング調査を平成28年度に行うことにした分、やや遅れていると判断する。 一方で、事例調査については奥尻島、三宅島、玄界島、島原市、ニューオーリンズの調査を終えており順調である。また、昨年度の海外調査で資料収集およびH28年度の事例調査地の助言を得ることができたため、事前調査は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行政担当者と調整したとおり、平成28年度は行政へのヒアリングおよび資料収集を集中的に行う予定である。夏までには行政および住民ヒアリングを行い、夏から秋に国内外の事例調査、秋以降に外部支援団体への調査を行う予定で調整している。 海外事例については、イリノイ大学オルシャンスキー教授のアドバイスで、洪水災害後に土地の嵩上げと住宅移転・再建を行ったノースダコタ州のGrand Forksを予定している。 また、外部支援団体への調査については、団体事務局長に調査協力の承諾を得ている。さらに、これまでのコミュニティ形成支援についても、夏までに行政と住民にヒアリング調査を行う方向で調整が済んでいる。
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Causes of Carryover |
平成27年度に研究代表者が海外研修のため長期不在にした影響が大きい。米国の災害復興と地域計画についてイリノイ大学で集中的に研究する機会に恵まれたこともあり、国内での調査が少なくなったこと、米国以外の海外事例調査を行っていないため、旅費と謝金(テープ起こし等)を使っていないためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度は復興集中期間も終わり、沿岸調査を頻繁に行う状況が整っている。また、昨年度の海外研修で得た資料および助言を受けて、米国Grand Forksの災害復興事例調査を行う予定である。なお、既にGrand Forks市と連絡を取っている。
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