2016 Fiscal Year Research-status Report
小学校におけるオープン型教室の変容とその要因構造に関する実証的研究
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26420624
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
山口 勝己 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (30200611)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小学校施設 / オープンスペース / オープン型教室 / 施設利用者評価 / 施設整備指針 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.政令指定都市におけるオープン型教室を有する小学校に関する分析:これまでに行った人口40万人以上の大都市におけるオープン型教室を有する小学校に関する調査データから政令指定都市を抽出して詳細に分析,考察を行うことによって大都市におけるオープン型教室整備の動向を自治体単位で把握することができた。特にオープン型小学校の多い札幌市,新潟市,北九州市についてのこれまでの整備の経緯を詳細に把握することができた。 2.引き戸導入校の教員に対するアンケート調査及びオープンスペースと引き戸の利用実態調査:札幌市においては,これまでフルオープンの教室を整備してきたが,近年改築されたT小学校から教室とオープンスペースの境界に引き戸を導入した。T小学校の教員に対して利用実態,成果と課題などに関するアンケート調査を実施した。また,オープンスペースと引き戸の利用実態を把握するために,現地で2日間にわたり観察調査を実施した。引き戸型教室に対して教員は全体的に高評価であり,教員は必要なときに閉めることの出来る境界の形状を求めていることが明らかになった。また,オープンスペースは学年単位での利用が中心であること,引き戸はテストや音読など静かな環境を必要とするときと音楽などの音の出る授業のときに閉めている状況を把握でき,引き戸を導入した成果を確認することができた。 3.オープン型教室を整備した特色のある小学校に対する訪問調査:近年建設されたオープン型教室導入校に対して訪問調査を実施した。設計者に対してヒアリング調査を行い,オープン型教室導入の理由や計画する際の工夫などについて把握することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
引き戸型オープン型教室を有する小学校に対して,現地での詳細な観察調査を行ったことにより,詳細な結果が得られた反面,自治体の教育委員会訪問調査,オープン型教室導入校訪問調査について自治体数,学校数を増やすことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度においては,これまでオープン型小学校の建設を継続的に行い,現在まで40数校のオープン型小学校を有する札幌市における初めての引き戸導入校について詳細に調査を行うことができた。29年度においては,引き戸を導入したオープン型教室や教室拡張型オープン型教室を有する学校を対象に,教員に対するヒアリング調査,利用状況についての観察調査,アンケート調査を実施し,引き戸型や教室拡張型教室の有効性,課題について分析・考察を行う。また,これまでの調査分析を取りまとめ,全体的な考察を行い研究論文として発表する予定である。 現状ではやや遅れているが,できるだけ本研究に従事する時間を増やすと共に,連携研究者との共同研究体制をより強化することによって,より一層推進できるよう努力する。
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Causes of Carryover |
引き戸を導入した札幌市の小学校を対象に詳細な調査を実施したために,自治体の教育委員会訪問調査,オープン型教室導入校訪問調査について十分に進めることができなかった。調査対象校が少なかったこと及び調査対象校が近距離であったことから,旅費が予定より少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.オープン型教室もつ小学校を継続的に建設してきた市区町村に対する訪問調査:オープン型教室を継続的に建設してきた市区町村を抽出して訪問ヒアリング調査を行い,オープン型教室の活用状況,成果,課題や今後の施設整備方針などについて把握する。自治体訪問調査のために旅費および同行する調査協力者に対する謝金が必要となる。 2.引き戸型及び教室拡張型の教室を有する小学校に対する教員に対するアンケート調査及び利用実態調査:引き戸及び教室拡張型教室を有する小学校において,実際に利用している担任教員にアンケートを行い,利用実態,利点・課題などの評価,改善点などを把握する。また,オープンスペースを授業で活用している実態を観察調査によって捉え,成果と課題を明らかにする。この調査のために旅費および同行する調査協力者に対する謝金が必要となる。
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