2014 Fiscal Year Research-status Report
局所的な土地利用変化は長期的にみて都市気象に影響を与えるか
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26420631
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
客野 尚志 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (80322725)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 空間統計情報 / GIS / ヒートアイランド / 空間的自己相関モデル / 階層ベイズモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度の研究内容については、研究全体のための準備作業が中心となり、調査対象の設定と解析のための空間統計情報の整備および前処理を計画していた.実績としては、前述の事前作業に加えて、解析のための数理モデルのプログラムへの実装と、このモデルに関連した都市の気温形成に関する解析に着手することができた.具体的な内容は次のとおりである. ○調査対象地域と調査時期を設定した.具体的には、過去の研究成果、既存のデータの存在状況などを精査しながら、適切な地域と時期を設定した. ○土地利用データや国勢調査、事業所統計、標高、交通量情報など一連の地理情報を整理し、GIS にて解析が可能な状態に調整した.さらに、より詳細な統計資料に関して、データ内容を精査した上で、必要なものを選定したうえで申請および入手した. ○空間的自己相関モデル、および誤差項の自己相関モデルについてフォートランを用いてプログラムに実装した.研究目的で示したように、本研究の目的は、階層ベイズモデルによる土地利用変化のモデリングとそのフレームによる都市の気温上昇の予測である.この土地利用変化のモデリングの根幹となるのが、上記の2つのモデルであるが、モデルの実装に着手し、この部分の実装については80%程度まで完了させることができた. ○階層ベイズモデルによる気温形成要因の統計的推定の実施.気象庁や自治体の提供する気温データを元に、気温形成要因の影響力の評価を階層ベイズモデルの手法により実施した.これは次年度以降のモデル作成において必要なパラメータを与える上で重要な意味を有するものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
データの事前準備など一部積み残し作業もあるが、本来、次の年度の作業を予定していた空間的自己相関モデルなどのフォートランへの実装など、本研究の重要な部分を前倒しに実施し、重要な部分については概ね完成に至っている点をかんがみると、当初の計画以上に進んでいるととらえてよいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に前倒しして実施した、数理モデルのプログラムへの実装を引き続き進めて、さらにテストケースにおける試算を通してモデルのチューンナップと完成を目指す.さらに、階層ベイズモデルにおける階層の設計と、事前分布の形状と各種パラメータの設定などを試行錯誤的に実施し、現状をより適切に説明し、なおかつ今後の予測モデルの構築に資するモデルの設計を行う.また、平成27年度に新たに入手するものも含めて、解析用のデータ群の統合作業を完成させ、いくつかのケースにおいてこのモデルによるシミュレーションを試行する.
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Causes of Carryover |
公的機関などが提供しているデータを購入するにあたり、ボリューム割引など各種の割引が適用されたため、当初計上していた予算より安価で購入することができたため、残額が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
一部前倒しで、本研究に関連して派生的に実施した解析を元に得られた結果を学会論文としてまとめており、現在投稿中である.この論文の執筆にあたり、英文のネイティブチェックの校閲費用や論文登載料が新たに発生する見込みであるので、この残額をそれに充当し、当初計上していた予算を使用しながら、また当該研究の成果を用いて、次年度の研究を遂行していく予定である.
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