2014 Fiscal Year Research-status Report
“持家”志向の高まりに関する研究-戦前期の日本電話建物株式会社を中心に-
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26420651
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
内田 青蔵 神奈川大学, 工学部, 教授 (30277686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安野 彰 文化学園大学, 造形学部, 准教授 (30339494)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 持家 / 日本電話建物株式会社 / 朗 / 貸家 |
Outline of Annual Research Achievements |
今日、縮小化社会を迎えはじめ、人口減少とともに住まいも空き家が増えるなど、戦後に普及した持家の在り方に陰りが見え始めている。そこで、本研究は、今後の住まいの在り方を考える一助として、持家志向がどのように定着したのかを、戦前期に持家志向を中流層全般にまで拡大させた民間企業として知られる日本電話建物株式会社の事業や広報媒体としての雑誌『朗』を分析対象とし、持家志向の動きの一端を明らかにすることを目的としている。 これまで、都市人口の増加に伴う住宅不足が社会問題化し、1921(大正10)年に住宅組合法が公布され、以後、中流層においては持家が奨励されたことが知られるが、政府や企業がどのような住まいを持家として普及させようとしたのか、また、人々が持家に何を期待し何を求めていたのかの住み手側の論理の解明はほとんどなされてこなかった。そこで、今年度は入手した日本電話建物株式会社の広報誌『朗』(昭和11年-18年)92冊に掲載された住宅の平面図を収集し、日本電話建物株式会社の手掛けた住宅の特徴を明らかにし、あわせて、これらのデータをデータベース化することにした。その結果、実施案は284例、計画案320案の合計604案が確認できたこと、延べ床面積の平均は約28.5坪で、昭和11年の平均規模が約43坪であるのに対し、木造建築統制が開始された昭和14年以降の翌年となる昭和15年の平均規模は約21坪と年代とともに徐々に規模の縮小化傾向がみられること、こうした規模や資材統制の中でも持家が求められていたことなどの実態の一端が明らかとなった。 今後は、さらに平面分析とともに、施主が持家に何を期待していたのかなどの持家志向を駆り立てた要因の分析を進めたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本電話建物株式会社広報誌『朗』掲載の平面図604案のデータベース化は、一応終了した。昨年度の当初の研究計画では、住宅紹介記事から施主の意向などの必要なデータを加え、また、平面分析を進める予定であったが、そこまでは到達できなかった。今年度は、平面分析を含め、収集した資料の分析を進めたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
資料収集とデータベース化の作業時間に追われ、研究分担者との共同研究会がなかなかできなかった。今年度は、基礎的データベースができたため、適宜研究会を開き、資料に関する分析結果に対する意見交換を進めたい。また、他の周辺資料の収集も進めたいと考えている。また、日本電話建物株式会社広報誌『朗』の第1巻(昭和8年)から3巻までの初期のものが発見できず、まだ入手していない。今年度こそ収蔵先を探し出し、入手したいと考えている。
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Causes of Carryover |
昨年度は、基本資料の一つとなる日本電話建物株式会社広報誌『朗』の収集・購入ができなかったこと、研究助言者との日程調整ができなかったこと、また、データベース化の作業に手間取り平面分析などの研究時間が取れなかったことなど、当初の研究計画段階のスケジュールをスムーズに進めることができず、そのため予算の消化ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、昨年度の積み残し作業を10月頃までは終わらせたいと考えている。具体的には、共同研究者との作業分担を図り、具体的な平面分析を進め、また、その成果を打ち合わせや研究報告会で報告し合うなど、研究を積極的に進めることで予算残額の消化は十分可能と考えている。
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