2014 Fiscal Year Research-status Report
廃水中のアンモニアを温和な温度で酸化分解する高性能固体触媒の開発
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26420782
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神谷 裕一 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 准教授 (10374638)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オゾン酸化 / 廃水処理 / 酸化コバルト触媒 / アンモニア / アンモニウムイオン / 活性向上 / 親水性 / ブレンステッド酸点 |
Outline of Annual Research Achievements |
水中アンモニウムイオンのオゾン酸化分解反応(NH-O3反応)に繰り返し使用すると触媒活性が向上するユニークな特性を示す酸化コバルト触媒について、未使用触媒と反応後触媒の物性を詳細に調べ、活性が向上する理由を検討した。反応の前後で触媒の結晶構造に変化は見られず、また表面積はむしろ減少した。一方、アンモニアTPDで評価した酸性質には反応前後で明確な違いがみられ、未使用触媒には存在しなかった酸点が、触媒の繰り返し使用によって発現していることが確認された。また、未使用触媒と比べて、反応後触媒の表面の親水性が大きく向上していることも、水吸着等温線測定によって確かめられた。これらのことから、NH-O3反応条件下で酸化コバルト触媒の表面にブレンステッド酸点が新たに形成され、これが触媒活性の向上に繋がっていると推測した。 酸化コバルト触媒を調製する原料塩によって、活性向上効果が発現するか否かを調べたところ、硝酸コバルトおよび酢酸コバルトから調製した酸化コバルト触媒では、触媒の繰り返し使用による活性向上効果が発現したが、硫酸コバルトから調製した触媒においては、繰り返し使用しても触媒活性は向上しなかった。今後、これらの触媒間の物性の違いを詳細に調べることによって、活性が向上する理由を明らかにするための有用な知見が得られると思われる。 また、NH-O3反応に触媒活性を示しかつ溶解しない酸化アルミニウム、酸化マンガン、酸化すずについて、NH-O3反応を繰り返し行い活性向上効果が発現するか調べたが、これらの触媒においては触媒活性は向上せず、繰り返し使用による活性向上効果は、酸化コバルトに特有の現象であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した平成26年度の研究計画におおむね則って研究が進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
繰り返し反応に使用することで酸化コバルト触媒の触媒活性が向上する理由を更に追求する。反応条件下で表面の親水性が向上するおよび酸量が増大する理由について明らかにすると共に、酸化コバルト触媒上での水中アンモニウムイオンのオゾン酸化分解反応の反応機構を明らかにし、表面物性の変化と触媒活性向上との関連性を明確にする。ここで得られた知見をベースに、既存の酸化コバルト触媒の性能を大きく凌駕する新規高性能触媒の開発を目指す。 温和な反応温度で廃水中のアンモニア態窒素を酸化分解しうる水中アンモニウムイオンの亜硝酸イオン酸化反応について、検討を開始する。この反応に活性を示す白金触媒の耐酸化性の向上が鍵となる。合金化、紫外線照射、反応溶液への微量水素添加によって、触媒の耐酸化性向上を目指す。最終的には、実廃水の浄化を検討する。
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Causes of Carryover |
実験計画の一部、見直しおよび休止設備備品を再生することで、平成26年度に購入予定であった設備備品費(オゾン発生装置、赤外分光計用MCT検出器)を購入する必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究が進展したことに伴い、現在、使用を休止している設備備品(質量分析計)を再稼働させる必要が出てきた。この設備備品の再稼働に必要な経費は当初の計画には無かった。この設備備品を再稼働させるために、前年度に繰り越した経費と本年度の経費の一部を使用する。
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Research Products
(2 results)