2014 Fiscal Year Research-status Report
逸泥とガスキックを伴う超高温人工地熱系掘削における最適泥水循環技術の開発
Project/Area Number |
26420842
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長縄 成実 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10237539)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 地熱開発 / EGS / 掘削 / 逸泥 / ガスキック / 泥水循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、石油掘削における圧力管理掘削(MPD; Managed Pressure Drilling)技術の動向とその地熱掘削への適用性についての調査およびレビューを行った。その結果、MPDは坑内の泥水圧力の制御許容範囲(operating mud window)が狭い地層や大規模逸泥層を掘削するときに坑内圧力を適切に制御する有効な手法であるものの、地熱掘削への適用例はこれまで無いことが分かった。しかしながら、石油掘削以上に逸泥が大規模かつ頻繁に発生し、同時に有毒な酸性ガスの坑内への流入(ガスキック)が起き得るという問題を抱えた地熱開発特有の掘削に適した、従来とは異なる新しい手法のMPD技術の確立が不可欠であることを再認識するとともに、本研究で目指す負圧付加MPD手法の開発の有望性および方向性が確認できた。また、国際会議への参加により、連続泥水循環システム(continuous mud circulation system)等の、本研究で目指す手法への組み合わせ利用も可能な新しい掘削システムに関する情報を入手することができた。 逸泥層での泥水および掘屑の流出を伴う状況を再現できるような簡易逸泥モデルを組み込んだ非定常の坑内流動シミュレータの構築については、一定レートでの流出境界条件による逸泥層の表現に関するモデル化の理論部分およびシミュレータ構築のための並列コンピュータ環境の導入を終えた。当初計画より遅れているものの、開発基盤として選んだ既存の非定常坑内流動シミュレータの利用が有効であることが確認でき、引き続き計画に沿って研究を遂行する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
計画より遅れている理由の第一は、シミュレータの構築に先立ち、交付申請時には予定していなかった、圧力管理掘削(MPD; Managed Pressure Drilling)技術に関する調査・レビューを実施したためである。もう一つの理由は、数値計算モデルの構築において、逸泥に伴う泥水水頭の低下の扱いを、開発基盤としている既存のシミュレータの枠組みの中で行うことが予想以上に難しいことが判明したため、計画した本年度内にシミュレータの構築までに至らなかったためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
遅れている簡易逸泥モデルを組み込んだ非定常区内流動シミュレータの構築を早急に行い、それを用いて逸泥が発生したときの坑内流動状況や圧力分布挙動のシミュレーションを可能にすることを、次年度の第1四半期までに終えることを目標にする。以降は当初計画どおり、基礎的な泥水実験によるデータの取得を行い、そのデータをもとに逸泥層詳細モデルの構築を行う。
|
Causes of Carryover |
本年度に導入した並列計算用ワークステーションは他経費を加えて購入したことにより結果的に当初予算との間に差異が生じたため、および計画を前倒しした国際会議参加のための参加登録費や海外出張旅費等の事前見積もりが正確にできなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度実施予定の泥水実験の条件設定に必要な実際の現場での泥水特性やオペレーション条件の調査を目的とした国内の地熱掘削現場の調査を追加で行う計画としたい。
|
Research Products
(2 results)