2015 Fiscal Year Research-status Report
核融合炉用トリチウム燃料供給源としての高温ガス炉の研究
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26420860
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
後藤 実 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 高温ガス炉水素・熱利用研究センター, 研究副主幹 (60414546)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高温ガス炉 / トリチウム製造 / リチウム化合物 / 核熱特性評価 / 炉心燃焼計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
高温ガス炉にリチウム化合物を装荷して6Li(n,a)T反応(Li-6が中性子を吸収してトリチウムとアルファ粒子が生成する反応)によりトリチウムを製造する方法について検討を行っている。装荷するリチウム化合物の形態は、高温ガス炉燃料の微小な燃料核への被覆層製造技術を活かし、リチウム微小球に被覆層を施した被覆リチウム微小球を想定している。そこで、平成26年度に整備した核特性解析コードを用い、装荷するリチウム量を同じにして、リチウム微小球の直径及び充填率を変えた計算を行い、それらのパラメータがトリチウムの製造量や過剰反応度に及ぼす影響を検討した。その結果、リチウム微小球及び装荷量の違いが、トリチウムの製造量や過剰反応度に及ぼす影響は小さいことが分かった。また、これらの結果は、リチウム化合物を円筒状に加工して装荷する場合との差も小さいことが分かった。 リチウム化合物としてLiAlO2、高温ガス炉としてHTR50Sを想定し、高温ガス炉にリチウム化合物を装荷した場合の核熱特性評価を行った。トリチウムの製造量を確保し且つHTR50Sの発電や熱利用に係わる性能をできるだけ損なわないようにするために、LiAlO2は可燃性毒物の代わりに棒状に装荷することとした。平成26年度に整備した核特性解析コードを用いて炉心燃焼計算を行い、①炉停止余裕、②反応度温度係数、③運転期間、④トリチウムの製造量、⑤燃料最高温度を評価して、1g/MW-yearのトリチウム製造が可能なLiAlO2を装荷した高温ガス炉が、核的及び熱的に成立することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の目的は、リチウムの装荷方法の違いが過剰反応度等の重要な核特性値に及ぼす影響を明らかにするとともに、核的な要求を満たすリチウムの装荷方法を検討することである。リチウムの装荷方法の違い(微小球直径、充填率など)が核特性値に及ぼす影響は小さいこと、及び小型高温ガス炉HTR50Sにリチウム化合物を可燃性毒物として装荷することで核的な要求が満たされることを示し当初の目的を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成27年度の検討結果を用いて安全性について評価を行う。また、当初の予定にはなかったが、トリチウムの閉じこめ性能と温度(炉心温度)の関係、及び実炉の高温ガス炉であるHTTRにリチウム化合物を装荷した場合についても検討を行い、将来のHTTRを用いたトリチウム製造試験の実施に繋げたい。
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Causes of Carryover |
平成27年度に予定していた国際会議への出席について、開催地(トルコ)の治安状況の悪化により出席を取りやめたため、その分の旅費などが次年度使用額として生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでに得られた成果と、今後実施予定のHTTRにリチウム化合物を装荷した場合の核熱特性評価の結果を、国際会議に出席して、それぞれ発表する予定である。
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Research Products
(1 results)