2016 Fiscal Year Research-status Report
核融合炉用トリチウム燃料供給源としての高温ガス炉の研究
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26420860
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
後藤 実 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 高温ガス炉水素・熱利用研究センター, 研究主幹 (60414546)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高温ガス炉 / 核融合炉 / トリチウム / 安全性 / 被ばく線量 |
Outline of Annual Research Achievements |
核融合炉用トリチウムの製造する高温ガス炉は、大量のトリチウムが炉内に存在するため、その安全性の検討においては、トリチウムによる被ばく線量評価が重要である。そこで、想定した熱出力50 MW規模のトリチウム製造高温ガス炉の通常運転時における安全性を、原子炉施設周辺におけるトリチウムによる一般公衆の被ばく線量に着目して検討した。将来、実際に高温ガス炉を用いてトリチウムを製造する場合、トリチウムが大気中に放出されて被ばく線量が増えないないよう、照射キャプセル等に閉じ込め機能を施す予定であるが、本検討では、製造したトリチウムの全量が一次冷却系に移行後、大気中に放出されると仮定して、保守的な被ばく線量の評価結果が得られるようにした。また、三体核分裂、構造材である黒鉛等に不純物として含まれるリチウム及びボロンと中性子の反応、制御棒の中性子吸収材であるボロンと中性子の反応、及び冷却材のヘリウムと中性子の反応で生成するトリチウムも考慮して、被ばく線量の評価を行った。被ばく線量の計算は、高温工学試験研究炉HTTRにおけるトリチウムによる被ばく線量の計算方法に準じて行った。その結果、トリチウムによる被ばく線量は、発電用原子炉施設の「線量目標値に関する指針」に基づき設定されている施設周辺の公衆の実効線量目標値以下(50μSv以下)となり、原子炉施設周辺における一般公衆被ばくの観点からは、想定したトリチウム製造高温ガス炉の安全性に大きな問題はないことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の目的は、トリチウム製造高温ガス炉について、安全性の観点から成立性を示すことである。トリチウム製造高温ガス炉は、大量のトリチウムが炉内に存在するため、トリチウムが大気中に放出された場合の一般公衆の被ばく線量が、安全性の観点から特有の問題になり得る。保守的な評価条件の下、トリチウムによる被ばく線量は、発電用原子炉施設の「線量目標値に関する指針」に基づき設定されている施設周辺の公衆の実効線量目標値以下となり、トリチウム製造高温ガス炉は安全性の観点からも問題がないことを示し、当初の目的を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
連携研究者らとの議論の中で、トリチウムを製造するためのリチウム化合物を、円環状にして炉心に装荷することで、過剰反応度の燃焼変化がより平坦化され、その結果、原子炉の運転期間を長期化できる可能性のあることが示された。平成29年度は、このアイデアを採り入れ、燃焼期間の長期化を目指したトリチウム製造高温ガス炉の核熱設計を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度においてトリチウム製造高温ガス炉の燃焼期間を長期化できる可能性のあるアイデアが示され、補助事業期間延長承認を申請して平成29年度にこのアイデアを採り入れたトリチウム製造高温ガス炉の核熱設計を行い成果を国際会議で発表することとし、平成28年度に予定していた国際会議における成果発表を平成29年度に変更したため成果発表に係る費用が次年度使用額として生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議の参加費及び旅費、発表に関する連携研究者との打合せ旅費、国際会議の発表及びその打合せに用いるノートPCやソフトウェアの購入等に使用する。
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